現代のアメリカ合衆国を代表する作家の1人であるトマス・ピンチョンの『インヒアレント・ヴァイス』(Inherent Vice, 2009)を少しずつ読み、そのあとはこの小説と関連するいくつかの映画(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督『ビッグ・リボウスキ』[The Big Lebowski, 1998]、ポール・トマス・アンダーソン監督『インヒアレント・ヴァイス』[Inherent Vice, 2014]、クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』[Once Upon a Time in Hollywood, 2019]など)を観て議論する演習形式の授業です。
細かい言語表現に注意を払いながら作品への理解を深めること、背景にあるアメリカ合衆国の社会的・文化的なコンテクストについての知識を得ること、テクスト分析の方法を実践的に身につけること、英語で書かれた小説の文章を継続的に読む習慣を身につけることなどを目標とします。ピンチョンの書く英語は読みやすいものではないかもしれませんが、予習をこなして毎回の議論に積極的に参加してくれるかぎりあらゆる学生の参加を歓迎します。ロスアンジェルスの都市空間に興味がある人もない人も、1960年代のカウンターカルチャーに関心がある人もない人も、ハードボイルド探偵小説が好きな人も嫌いな人も、それぞれの小説・映画のテクストを検討しながら各自の関心を発展させる機会にしてください。
この科目は後期課程と大学院の両方の学生が受講しうるものですが、学部生であっても大学院生であっても履修に際して不安を感じる必要はありません。幅広い学年の受講生のあいだで活発な意見交換が生まれることを期待します。
※授業形態は学部・研究科の方針に従います(2025年2月時点の記述)。