2022年に80億人を超えた人口を養っていくためには、食料生産の維持・増大は欠かせない。主食である穀物の生産量が,灌漑農地面積に比例して造材してきたことは,我々日本人が当たり前と思っている「水」を「土」にどのように与えるかで食料生産が左右されることを示している.
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを達成するためには,自然環境との調和を図りつつ食料生産の基盤を整備するとともに快適な地域空間を創出する必要があるが,これは容易ではない。特に、植物の生育に不可欠な水と生態系存立の基盤である土、さらに地域空間における物質循環に関する科学と技術が不可欠である。
この講義では、食料生産、いわゆる農業について、生産効率向上の工夫や持続的な農業生産に関する課題を紹介するとともに農業に関連して生じている様々な環境問題やそのメカニズムを社会的背景と物質循環についての基礎知識やモニタリング技術を含めてわかりやすく解説する。
この講義によって、普段気にしていない水と土を巡る物質循環の科学の私たちの社会・生活における重要性が理解できるようになることを期待する。