民法は「私法の一般法」であるとされる。一般法は、一見すると広範な適用領域を有し、それゆえに重要であるように見えるが、「特別法は一般法を破る」という法格言によって特別法に破られる存在でもある。近年、私法領域における特別法の発展が目覚ましいが、このことが民法の適用領域を縮小し、民法の「空洞化」をもたらすことを危惧する向きもある。
しかし、特別法の発展は、一般法に対して、適用領域の縮小しかもたらさないのだろうか。
本演習では、「特別法は一般法を破る」という法格言を扱った最近の論文であるLéa Lucienne, Specialia generalibus derogant, Mare & Martin, 2023の講読を通じて、特別法の時代における民法と民法学のあり方を考えてみたい。