現代社会には科学技術を抜きには考えられない課題群がある一方で、科学や技術の知だけでも解決できない社会の諸側面の課題が多くある。そうした課題は、環境問題、医療、災害、格差、差別、デュアルユース、さらには近年のCOVID-19の世界的流行など、さまざまな場面で立ち現れる。科学技術社会論(STS: Science, Technology, and Society)は、科学や科学者の営み、そして科学や技術と社会とのインターフェイスにおいて生じる問題を、社会学、文化人類学、歴史学、哲学、政治学、経済学および科学計量学、科学技術政策論などのアプローチを用いて探求する分野である。この授業では、科学技術社会論における研究や視点を概観し、過去そして現在生じている事例も交えながら、学びや議論を進める。