広い意味での社会理論に関する文献の精読や個人の研究発表を通じて、社会学や社会思想の基礎概念の理解を深めるとともに、論文執筆に必要なアカデミック・スキルを向上させることがこの演習の目標である。
今学期は、これまでの社会理論が「日本」という対象をどのような観点から分析し、いかなる理論的知見を提示してきたか、また「日本」が社会理論の中でどのように想像され、構築されてきたかといった問題を検討する。社会理論の中でも特に近代化理論、比較歴史社会学、文明分析という3つの理論的アプローチを順次取り上げ、最後に近年のいくつかの議論も扱う。演習を通じて、社会科学におけるオリエンタリズムの問題に留意しつつ、第二次世界大戦後から現在に至るまでのマクロな社会学理論の展開を押さえ、その到達点を確認する。