苦悩や痛みは個別の経験ですが、その共有や社会的な承認をいかにするか、それらへのケアや支援をどう構想するかは、社会学の重要な課題の一つです。近年盛んなケア論や、当事者の経験に重点を置く方法への注目はこうした課題に応える中で生まれてきています。本演習ではそれらの研究や、関連するより理論的な研究を読みながら、個人的経験と社会的なものとを関連づける社会学の営みについて考えます。また、講読と並行して各自の研究計画作成・発表等を通じ、問題意識から研究へとつなげていくことも試みます。教員の専門領域周辺(医療・福祉・障害・ケア・逸脱・家族・死生などの社会学)と関連する話題が多くなることが予想されますが、異なる関心を持つ人や他ディシプリンを学ぶ人の参加も歓迎します。