風景・景観は、端的には人間を取り巻く視覚像、環境のながめ(中村良夫)だが、同時にそこには地域ならではの人々の営み、意味づけ、土地利用、生態系の地域性が存在する。このような地域性・風土、及び誰にとっての視点かを配慮しながら、景観あるいは風景を計画・設計するための方法論について講義する。より具体的には,風景計画の対象となる空間としては都 市から里山,原生自然まで幅広い地域文化・産物と生態系の事例を取り上げつつ,庭園,公園,緑地,森林等の風景計画にみられる管理技術,保全計画、政策・法制度(協定・地理的表示)等を概説しつつ、人口縮退、環境変化にも伴う課題についても敷衍し、双方的に議論する。とくに,風景計画については,風景計画に必要な分析,予測,評価の各段階について紹介した上で,人が景観を認識するという景観把 握モデルに関連して視知覚特性,風景論,文化的景観論について概説する。また,保全計画については、遺産制度、国立公園等の保護地域を例にとり,景観を含めた資源管理と地域振興に ついて概説し,海外事例も紹介する。