医事法は、医療に関するさまざまな法律問題に加え、胚、死体、ヒト由来組織・臓器の法的地位、医薬品・医療機器の規制、さらには種々の医学・生命科学研究の法規制の問題など、きわめて広い範囲にわたる問題を扱う法領域である。これらの問題の検討には、民刑事法・行政法などの一般的知識を前提に、医療実務、法律実務、さらに医療政策や生命倫理なども考慮した複合的な問題解決能力が必要となる。本講義では、一般的な医事法の解釈問題につき解説を行うのみならず、医療・医学研究の実態や近時の動向を盛り込みつつ、現実に発生している法的問題を扱うことで、民刑事法・行政法を応用しつつ医療を中心とする実務的問題の解決を導く能力を涵養するとともに、医療のあり方や法の役割についての理解を深めることを目的とする。