本年度は、日本の古代から中世の美術史の流れを追う。
対象とする期間は、奈良・平安時代(8~12世紀)から鎌倉・南北朝時代(12~14世紀)を経て、室町・戦国時代(15~16世紀)の900年にわたる。各学期のはじめに通史を概観した上で、宗教美術と世俗美術の主題、技法や材料、各時代の王権と美術の関係、絵師や仏師といった制作組織の盛衰、東アジアにおける文化交流などの諸問題に関して、古典的研究と最新の研究の両面から把握する。
これらに加えて、古代・中世の美術品が、近世・近代・現代に文化財として評価を得ていく過程や、収集・保存・修復・展示の史的展開、絵画・彫刻・工芸といったジャンルの形成を視野に入れることで、美術史学と文化資源学の架橋を試みる。