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08D1452
FAS-DA4F53S3
環境学フィールドワークI
Fieldwork and Case-studies for Environmental Sciences I
永田 淳嗣
NAGATA Junji
A1A2 未定
To Be Arranged 

This course is designed to give students an opportunity to be exposed to the efforts to address environmental issues in the field. As a case it will take up the activities promoting creation of a model town where the environment and industry would coexist in harmony in the coastal area of Kawasaki City, Kanagawa Prefecture, through the collaboration between public and private sectors. Kawasaki City is well known as an industrial city and experienced serious environmental degradation including air pollution and water contamination, which were typically called “ko-gai” in Japanese language. To tackle these problems the city government implemented various antipollution measures ahead of the national government and in the process of dealing with a variety of environmental issues, a vast amount of environmental technology and know-how has been accumulated within Kawasaki City. In 1997, Kawasaki City drew up the Kawasaki Eco-Town plan. In Kawasaki Eco-Town, companies are encouraged to adopt resource recycling in their production activities as much as possible, and industrial waste and bi-products are effectively reused as raw materials. This course stresses understanding of the present conditions and practical issues facing these efforts on the ground.

単位 Credit:2
教室 Room: 未定 To Be Arranged
講義使用言語 Language:英語 English
4971340
GII-IA6134L3
Information, Technology, and Society in Asia 134
Information, Technology, and Society in Asia 134
鍾 以江
ZHONG Yijiang
A1A2 金曜3限
Fri 3rd
Issues and Methods in Japanese Studies

This course examines the issues and methods that constitute Japanese Studies as a field of study. We do so by reading and discussing a series of major, primarily historical, works on Japan written in English since 1945. What makes (and/or unmakes) Japanese Studies, which takes a country as the subject of study, an academic field and a form of knowledge? What is “Japan” in Japanese Studies? We will trace the history of Japanese Studies, its problematics, goals, methodologies, from 1945 to the present, in the post-1945 context of transformations of geopolitical configurations in East Asia, and changes in modes of intellectual inquiry (from modernization theory to postcolonial and postmodern studies, and then to post-postmodern modes of globalization). We follow Foucault’s observation that knowledge is power but that does not mean Japanese studies has always served simply political purposes, i.e., particular goals and concerns of governments and states. We look at Japanese Studies as necessarily shaped by political interests but more importantly as a dynamic and creative form of humanistic knowledge.

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 東文研及総合博物館 東文研611号室
講義使用言語 Language:英語 English
060320021
FAG-CE3L01L1
横断型 University-wide
自然共生社会論
Societies in Harmony with Nature
橋本 禅
Shizuka Hashimoto
S2 集中
Intensive 

 我々の社会は、自然がもたらす多様な恵み(生態系サービス)に支えられています。しかしながら、地球環境及び社会経済の変化が引き起こす生物多様性の減少や生態系の劣化により、将来にわたる生態系サービスの持続的な供給が危ぶまれています。本講義では、生態系サービスを将来にわたり享受できる自然共生社会の構築に必要な基礎知識の習得を目標として、我が国や諸外国の生態系サービスの現状や評価の方法、関係する国際的枠組み、国内の政策や計画・事業等の制度や実際の取組みについて、計画論的な視点から学びます。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 農学部1号館 第5講義室 Faculty of Agriculture Bldg.1 Lecture Room No.5,Faculty of Agriculture
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
04190444
FLE-HU4D04L1
倫理学特殊講義Ⅳ
Topics in Ethics IV
板東 洋介
S2 集中
Intensive 
神道と儒教

日本の重層的な宗教世界と、そこにひそむ深い哲学的な思考とを正しく理解するためには、前近代東アジアに登場した二思想─神道と儒教とを学ぶことが必要である。神道は無論、日本の伝統的な在来宗教であり、儒教は中国大陸に端を発し、朝鮮半島・琉球・ヴェトナム等々、アジア圏にひろがった一種の普遍思想である。両者は日本ではとりわけ江戸時代に、反発・融合・相互の影響等のさまざまな交渉を通じて、列島のうちに独特な宗教観・道徳観を形成した。両者はともに儀礼(祭祀)を重んじ、また身体作法(礼)を重視し、今日に至るまで日本人の「つつしみ」や「うやまい」の形に深い影を落としてもいる。本講義では両者の思想史的交渉を軸に、そこに存する、超越や他者をめぐる深い思索に触れてゆきたい。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 法文1号館 113教室
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
21190606
GHS-GC6E01L1
神道と儒教
Shinto and Confucianism
板東 洋介
S2 集中
Intensive 
神道と儒教

日本の重層的な宗教世界と、そこにひそむ深い哲学的な思考とを正しく理解するためには、前近代東アジアに登場した二思想─神道と儒教とを学ぶことが必要である。神道は無論、日本の伝統的な在来宗教であり、儒教は中国大陸に端を発し、朝鮮半島・琉球・ヴェトナム等々、アジア圏にひろがった一種の普遍思想である。両者は日本ではとりわけ江戸時代に、反発・融合・相互の影響等のさまざまな交渉を通じて、列島のうちに独特な宗教観・道徳観を形成した。両者はともに儀礼(祭祀)を重んじ、また身体作法(礼)を重視し、今日に至るまで日本人の「つつしみ」や「うやまい」の形に深い影を落としてもいる。本講義では両者の思想史的交渉を軸に、そこに存する、超越や他者をめぐる深い思索に触れてゆきたい。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 法文1号館 113教室
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
3912154
GAG-CC6101S2
農林水畜産業と環境負荷
Sustainable Agriculture, Forestry, Fishery, Animal husbandry I. Environment and technology
鴨下 顕彦
Akihiko Kamoshita
通年
Full Year (from Apr.)
集中
Intensive 
農林水畜産業と環境負荷 Sustainable Agriculture, Forestry, Fishery, Animal husbandry I. Environment and technology

富士癒しの森研究所、富士山火山荒原植生遷移試験地等の見学とセミナーへの参加を通して、地域の自然環境と人間社会が相互に連関しながら生物資源の利用様式を規定していることを理解し、農林水畜産業の可能性に関する見識を高める。生態調和農学機構と田無演習林の見学を通して、持続可能な発展に貢献してゆくための大学の試験フィールドの役割について、国際的な視野の中で議論し考察する。演習開始前の短いレポートとアンケートへの回答、演習後の課題が課せられる。 Through the study visit of Fuji Iyashinomori Woodland Study Center, plant succession experimental site in a volcanic desert on Mt. Fuji etc. and participation to an onsite seminar, students aim to understand that local natural environments and human activities deeply interact each other and determine how to use the local bioresources and to develop insights into possibilities for the sustainable agriculture, forestry, fisheries and animal husbandry. Through the study visits of Institute for Sustainable Agro-ecosystem Services and The University of Tokyo Tanashi Forest, students debate and discuss roles of experimental fields in universities to contribute to sustainable development in societies. Students need to submit a brief report and answer to a questionnaire prior to the seminar and submit an assignment after the seminar.

単位 Credit:1
講義使用言語 Language:英語 English
08C4039
FAS-CA4V05L3
東アジアの社会I
Society in East Asia I
鍾 以江
ZHONG Yijiang
S1S2 水曜5限
Wed 5th
Issues and Methods in Japanese Studies

This course examines the issues and methods that constitute Japanese Studies as a field of study. We do so by reading and discussing a series of major, primarily historical, works on Japan written in English since 1945. What makes (and/or unmakes) Japanese Studies, which takes a country as the subject of study, an academic field and a form of knowledge? What is “Japan” in Japanese Studies? We will trace the history of Japanese Studies, its problematics, goals, methodologies, from 1945 to the present, in the post-1945 context of transformations of geopolitical configurations in East Asia, and changes in modes of intellectual inquiry (from modernization theory to postcolonial and postmodern studies, and then to post-postmodern modes of globalization). We follow Foucault’s observation that knowledge is power but that does not mean Japanese studies has always served simply political purposes, i.e., particular goals and concerns of governments and states. We look at Japanese Studies as necessarily shaped by political interests but more importantly as a dynamic and creative form of humanistic knowledge.

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 駒場8号館 8-207 Komaba Bldg.8 Room 8-207
講義使用言語 Language:英語 English
31D220-1141S
GAS-AS6A14L1
横断型 University-wide
通文化研究基礎論II
Foundations of Trans-regional Studies II
菅 豊
Yutaka Suga
S1S2 水曜4限
Wed 4th
「野の芸術」論―ヴァナキュラー概念を用いた民俗学的アート研究

●概要  日本の民俗学と世界各国の民俗学とでは、研究ジャンルが非対称である。世界の民俗学では積極的に取り組まれているのに対し、日本の民俗学では十分に取り組まれてこなかった重要な研究ジャンルがある。それが芸術=アートである(本授業では美術・工芸に加え音楽、演芸、さらに審美性を必ずしも追求しない創作活動なども含めてアートと表現する)。本授業は、現代民俗学のキーコンセプトである「ヴァナキュラー(vernacular)」概念で捉えられるアート、すなわちヴァナキュラー・アートを題材に、民俗学的アート論の方法や理論、具体的事例を検討する。 ●本授業の学術的背景と核心をなす学術的「問い」  日本において、早くも1928年に民俗芸術の会が設立され、雑誌『民俗芸術』が発刊されたが、それは民俗芸能偏重で芸術一般を取り扱うことはなかった。しかし、その会に参画した柳田国男は芸術に関心を示し、芸術が「面白い研究課題」であり、その研究が「世界のフオクロア」に対して貢献できると強調した。そして生け花や庭園、化粧、芝居演劇、絵画などを例に、「素人」や「専門家に非ざる百姓」「小学校に入ったばかりの子供」といった「普通人」や「無名の常民」の芸術活動を研究することの意義を訴えた(柳田 1934:147-152)。現代のアート論においても先駆的であると思われる柳田のこの主張は、その後、鶴見俊輔の「限界芸術論」に引き継がれたものの、残念なことに民俗学では忘却されてしまった。また民俗学は、それと同時代に生起した柳宗悦らの民藝運動とも直接接触することはなかった。結果、日本の民俗学は伝統的な民俗芸能や口承文芸には関心をもったものの、芸術を「便宜的・表面的な分類ラベル程度のものでしかなく、内実をもった概念にまで高める必要のないもの」(小松 1999:6)として軽視し続けてきた。その状況は現在でも変わらない。  しかし、アルフレッド・ジェルやティム・インゴルドなどの研究をもち出すまでもなく、近年、人類学的アート研究が活性化しており、また社会学など民俗学の隣接科学でもアートが重要課題となっている。そして海外の民俗学に目を転じれば、古くより美術や工芸に関してFolk Art(英米)や「民間藝術」(中国)という明確なジャンルが定められ、積極的に考究されてきた。さらに翻って日本のアート界を眺望すれば、地域の芸術祭が隆盛するなど、現代美術の重心が前衛的なコンセプチュアル・アートから、「風土」「伝統」といった土着的な民俗文化を求めるものへ移行する「民俗学的転回(Folkloric Turn)」(福住 2017:29)を経験しており、アートにとって民俗学的世界は見過ごせない重要課題となってきている。  このような学術的背景のもと、日本の民俗学においてアートというジャンルを、その研究の射程に収めることの重要性は高まりつつある。もちろん、アートを民俗学で考究する際、他のディシプリンと異なる民俗学独自の視角が求められることは言を俟たない。その民俗学的アート論を起ち上げる際に、本授業が採用する概念がヴァナキュラーである。ヴァナキュラーは、元来、土地固有の土着性や、さらに地方語、話し言葉、日常語を意味する言葉として使用されていたが、今日の文化研究において「権力、近代、人種、階級から、個人や集団の創造性、さらに研究者の位置性や政策に関わる問題等、きわめて多様なテーマ」(小長谷 2017:28)が関わる文化概念として用いられ、米国の民俗学でもキーコンセプトとなっている(Bauman 2008など)。その語には土着や周縁、非権力、異端、邪道、粗野、アンオフィシャル、アマチュア、ディレッタント、在野、非エリート、俗、非市場、独学、手仕事といった、実に多様な含意を読み取ることができる。  このヴァナキュラーという語で形容されるアートのジャンル、すなわちヴァナキュラー・アートは、芸術の専門教育を受けておらず、そして自分のことを「芸術家」だと認識していない「芸術家」たちによって制作されるアートであり、独学芸術(Self-taught Art)や、障害をもつ人びとが一般的に行為主体とされるアール・ブリュット(Art Brut)、その英訳であるアウトサイダー・アート(Outsider Art)、さらに機能性に欠ける奇異な構造物を数十年かけて、こつこつと無目的に創り上げる幻視風景(Visionary Environment)などのアート・ジャンルと多くの部分で重なり合う。ただし、ヴァナキュラー・アートの場合、天賦の才に恵まれ敬意を集める芸術家や、反対に「変人」扱いされる人びと、そしてアフリカン・アメリカンや障害者といったマイノリティのように、社会的に「しるしづけられた(有徴の)存在」による創作だけではなく、市井のどこにでもいる、表舞台で脚光を浴びない普通の人びとの、ありきたりな日常生活における創作を含む点が特徴的である。その創作は人びとの生活と不可分であり、衣食住と同じように日常生活に埋め込まれ、淡々と行われている。その点で、民俗学において考究する意義が大きい。ヴァナキュラー・アート研究では、行為主体の非専門性や行為の日常性を重要視するのである。このヴァナキュラーという概念を獲得することにより、民俗学は伝統と不可分であるFolk Artや民間藝術とともに、伝統に囚われない日常生活における「いま」のアートの創作活動を研究の視野に収めることができる。  アカデミズムの外、すなわち「野」で生起した「野の学問」である日本の民俗学で、普通の人びと=「野の芸術家」の生活の卑近な創作活動=「野の芸術」の具体像を把握するため、本授業では「普通の人びとは日常生活のなかで、いつ、どこで、なぜ、どのように創作活動を行っているのか?」、「普通の人びとがもつ創造性とはいかなるものか?」、「普通の人びとが生活のなかで『アートする(doing art)』ことはいかなる社会的意味と価値をもっているのか?」、そして「普通の人びとのアート・ワールド(芸術世界)はどのような構造になっているのか?」といった、学術的「問い」を設定した。これらの学術的「問い」は、柳田国男がその研究の必要性を力説したにもかかわらず、その後、民俗学で忘却された、「素人」や「専門家に非ざる」人びとの芸術活動に対する「問い」と相通じるものでもある。 【引用・参考文献】 柳田国男1934『民間伝承論』共立社 小松和彦他編1999『芸術と娯楽の民俗』雄山閣 福住廉2017「民俗学的転回」『美術手帖』2017年12月号(1062号) 小長谷英代2017『〈フォーク〉からの転回 ―文化批判と領域史』春風社 Richard Bauman 2008 The Philology of the Vernacular, Journal of Folklore Research 45(1).

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 東文研及総合博物館 7階・705号室
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
31M220-1141S
GAS-AS6A14L1
横断型 University-wide
通文化研究基礎論II
Foundations of Trans-regional Studies II
菅 豊
Yutaka Suga
S1S2 水曜4限
Wed 4th
「野の芸術」論―ヴァナキュラー概念を用いた民俗学的アート研究

●概要  日本の民俗学と世界各国の民俗学とでは、研究ジャンルが非対称である。世界の民俗学では積極的に取り組まれているのに対し、日本の民俗学では十分に取り組まれてこなかった重要な研究ジャンルがある。それが芸術=アートである(本授業では美術・工芸に加え音楽、演芸、さらに審美性を必ずしも追求しない創作活動なども含めてアートと表現する)。本授業は、現代民俗学のキーコンセプトである「ヴァナキュラー(vernacular)」概念で捉えられるアート、すなわちヴァナキュラー・アートを題材に、民俗学的アート論の方法や理論、具体的事例を検討する。 ●本授業の学術的背景と核心をなす学術的「問い」  日本において、早くも1928年に民俗芸術の会が設立され、雑誌『民俗芸術』が発刊されたが、それは民俗芸能偏重で芸術一般を取り扱うことはなかった。しかし、その会に参画した柳田国男は芸術に関心を示し、芸術が「面白い研究課題」であり、その研究が「世界のフオクロア」に対して貢献できると強調した。そして生け花や庭園、化粧、芝居演劇、絵画などを例に、「素人」や「専門家に非ざる百姓」「小学校に入ったばかりの子供」といった「普通人」や「無名の常民」の芸術活動を研究することの意義を訴えた(柳田 1934:147-152)。現代のアート論においても先駆的であると思われる柳田のこの主張は、その後、鶴見俊輔の「限界芸術論」に引き継がれたものの、残念なことに民俗学では忘却されてしまった。また民俗学は、それと同時代に生起した柳宗悦らの民藝運動とも直接接触することはなかった。結果、日本の民俗学は伝統的な民俗芸能や口承文芸には関心をもったものの、芸術を「便宜的・表面的な分類ラベル程度のものでしかなく、内実をもった概念にまで高める必要のないもの」(小松 1999:6)として軽視し続けてきた。その状況は現在でも変わらない。  しかし、アルフレッド・ジェルやティム・インゴルドなどの研究をもち出すまでもなく、近年、人類学的アート研究が活性化しており、また社会学など民俗学の隣接科学でもアートが重要課題となっている。そして海外の民俗学に目を転じれば、古くより美術や工芸に関してFolk Art(英米)や「民間藝術」(中国)という明確なジャンルが定められ、積極的に考究されてきた。さらに翻って日本のアート界を眺望すれば、地域の芸術祭が隆盛するなど、現代美術の重心が前衛的なコンセプチュアル・アートから、「風土」「伝統」といった土着的な民俗文化を求めるものへ移行する「民俗学的転回(Folkloric Turn)」(福住 2017:29)を経験しており、アートにとって民俗学的世界は見過ごせない重要課題となってきている。  このような学術的背景のもと、日本の民俗学においてアートというジャンルを、その研究の射程に収めることの重要性は高まりつつある。もちろん、アートを民俗学で考究する際、他のディシプリンと異なる民俗学独自の視角が求められることは言を俟たない。その民俗学的アート論を起ち上げる際に、本授業が採用する概念がヴァナキュラーである。ヴァナキュラーは、元来、土地固有の土着性や、さらに地方語、話し言葉、日常語を意味する言葉として使用されていたが、今日の文化研究において「権力、近代、人種、階級から、個人や集団の創造性、さらに研究者の位置性や政策に関わる問題等、きわめて多様なテーマ」(小長谷 2017:28)が関わる文化概念として用いられ、米国の民俗学でもキーコンセプトとなっている(Bauman 2008など)。その語には土着や周縁、非権力、異端、邪道、粗野、アンオフィシャル、アマチュア、ディレッタント、在野、非エリート、俗、非市場、独学、手仕事といった、実に多様な含意を読み取ることができる。  このヴァナキュラーという語で形容されるアートのジャンル、すなわちヴァナキュラー・アートは、芸術の専門教育を受けておらず、そして自分のことを「芸術家」だと認識していない「芸術家」たちによって制作されるアートであり、独学芸術(Self-taught Art)や、障害をもつ人びとが一般的に行為主体とされるアール・ブリュット(Art Brut)、その英訳であるアウトサイダー・アート(Outsider Art)、さらに機能性に欠ける奇異な構造物を数十年かけて、こつこつと無目的に創り上げる幻視風景(Visionary Environment)などのアート・ジャンルと多くの部分で重なり合う。ただし、ヴァナキュラー・アートの場合、天賦の才に恵まれ敬意を集める芸術家や、反対に「変人」扱いされる人びと、そしてアフリカン・アメリカンや障害者といったマイノリティのように、社会的に「しるしづけられた(有徴の)存在」による創作だけではなく、市井のどこにでもいる、表舞台で脚光を浴びない普通の人びとの、ありきたりな日常生活における創作を含む点が特徴的である。その創作は人びとの生活と不可分であり、衣食住と同じように日常生活に埋め込まれ、淡々と行われている。その点で、民俗学において考究する意義が大きい。ヴァナキュラー・アート研究では、行為主体の非専門性や行為の日常性を重要視するのである。このヴァナキュラーという概念を獲得することにより、民俗学は伝統と不可分であるFolk Artや民間藝術とともに、伝統に囚われない日常生活における「いま」のアートの創作活動を研究の視野に収めることができる。  アカデミズムの外、すなわち「野」で生起した「野の学問」である日本の民俗学で、普通の人びと=「野の芸術家」の生活の卑近な創作活動=「野の芸術」の具体像を把握するため、本授業では「普通の人びとは日常生活のなかで、いつ、どこで、なぜ、どのように創作活動を行っているのか?」、「普通の人びとがもつ創造性とはいかなるものか?」、「普通の人びとが生活のなかで『アートする(doing art)』ことはいかなる社会的意味と価値をもっているのか?」、そして「普通の人びとのアート・ワールド(芸術世界)はどのような構造になっているのか?」といった、学術的「問い」を設定した。これらの学術的「問い」は、柳田国男がその研究の必要性を力説したにもかかわらず、その後、民俗学で忘却された、「素人」や「専門家に非ざる」人びとの芸術活動に対する「問い」と相通じるものでもある。 【引用・参考文献】 柳田国男1934『民間伝承論』共立社 小松和彦他編1999『芸術と娯楽の民俗』雄山閣 福住廉2017「民俗学的転回」『美術手帖』2017年12月号(1062号) 小長谷英代2017『〈フォーク〉からの転回 ―文化批判と領域史』春風社 Richard Bauman 2008 The Philology of the Vernacular, Journal of Folklore Research 45(1).

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 東文研及総合博物館 7階・705号室
講義使用言語 Language:日本語 Japanese
08X400101
FAS-XA4D01L1
横断型 University-wide
高度教養特殊講義(こころの総合人間科学概論)
Special Lectures of Liberal Arts for Advanced Students (Introduction to Human Integrative Science and Education of Mind)
岡ノ谷 一夫
OKANOYA Kazuo
A1A2 未定
To Be Arranged 
こころの総合人間科学概論:東大のこころの科学を俯瞰する

ヒトや他の動物の行動や心理、神経活動、そしてこころの健康については、東京大学内の各学部・研究科において、多様なアプローチで教育と研究が行われている。欧米の大学では、心理学部あるいは認知神経科学部といったまとまったユニットで行われる教育が、東大に限らず我国では分散して行われているのが実情である。そこで、この講義では、学内の「部局の壁」を低くし、東大のこころの科学(神経科学、心理学、認知科学、発達精神医学、実験社会科学など)の全体像と最前線を俯瞰できるようなオムニバス形式の講義を提供する。この講義を通じて受講者は、こころの多様性と適応について理解し、こころの健康に関する広い知見を学ぶことができる。なお、平成30年度とは講師陣が異なるため、平成30年度に履修した学生も単位が認定される。平成29年度に履修した学生は単位が認定されない。

単位 Credit:2
他学部 Other Faculty:可 YES
教室 Room: 未定 To Be Arranged
講義使用言語 Language:日本語 Japanese

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