現在、社会学に限らず、社会科学全般において、ビッグデータ・人工知能・機械学習・自然言語処理・デジタル実験などの従来とは全く異なるデータ・手法が導入され、いわゆる計算社会科学へ向かう大きな流れが生じつつある。社会学もまた、この計算社会科学の潮流に棹さしながら、従来のこの学問のあり方の根本的な問い直しと自己変革を迫られている。このような状況を鑑みて、本演習では、上記の計算的手法を用いて社会学理論の再構築と経験的知見の蓄積を試みる社会学的研究を「計算社会学」と名付け、その理論と方法について考えていきたい。とはいえ、「計算社会学」の確立した理論と方法が現状存在するわけではないので、むしろ参加者が協力して、このような新しい社会学の確立のために貢献していく意欲が求められる。具体的な進め方としては、計算社会学に関連する既存研究について批判的に検討し、その結果を報告、参加者で議論をする。また、参加者自らの計算社会学的な研究の計画も報告し、全員で討論をし、研究計画の改善を目指す。今年度は、テキスト分析への応用も含めたネットーワ分析に関する手法の学習、計算的手法に基づく社会学理論の構築法について議論する。