講座の前半は、「場所」と「空間」に関する基礎的な概念をおさえた上で、人と資本の移動が集中するグローバル・シティを中心として、都市間競争や都市空間の商品化などの諸論点を議論する。ここでは、集積性と流動性がともに高く、その結果として多様性に富む場としての都市という切り口を軸に検討していくが、これまで都市の価値とされてきたことがことごとくリスクへと反転したコロナ禍の経験も、適宜織り交ぜて考えていく。後半では、空間をめぐる社会理論の入門編を紹介したうえで、郊外化に係る諸論点・空洞化する中心市街地に関する分析など、人口減少下にある地方における集約化の問題について検討してゆく。こうした議論を踏まえて講義の最後には、都市社会学と都市計画のスタンスの違いとありうべき協働の可能性について考えてみたい。
第1回 都市を知覚する2つの視線/認知地図とは何か
第2回 分極化する都市と人種化された認知地図
第3回 シティセールスと都市間競争
第4回 都市の均質化/差異化とジェントリフィケーションI
第5回 都市の均質化/差異化とジェントリフィケーションII
第6回 空間の社会理論の検討から:モビリティの増大とその歪みI
第7回 空間の社会理論の検討から:モビリティの増大とその歪みII
第8回 郊外化とその「病理」I
第9回 郊外化とその「病理」II
第10回 郊外化と商業空間
第11回 コンパクトシティは可能か
第12回 2つのアーバニズムをめぐって:都市社会学と都市計画
第13回 予備日