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最終更新日:2025年10月17日

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量子力学Ⅰ

 近年、量子力学の概念を活用した電子情報通信デバイスが、次々と社会に登場しています。量子コンピュータは人工知能の新たな計算基盤として進化を続け、量子情報通信技術は次世代の通信インフラを担うものとして期待されています。スマートフォンやコンピュータなどの身近な電子情報端末においても、その動作原理として量子力学の考え方が使われています。さらに、脱炭素社会やグリーンイノベーションの実現に向けて新しい材料を生み出すためにも、量子力学の理解は欠かせません。これからの社会で未来をつくるためには、量子力学はもはや必要不可欠な学問であると言えます。
 量子力学では、電子などの粒子を「存在確率の波」として捉えます。この考え方によって、電子が同時に複数の状態にある「重ね合わせ」や、壁をすり抜ける「トンネル効果」など、直感では理解できない現象を説明することができます。一見、現実離れしているように見えるこの世界は、実際には量子コンピュータや次世代デバイスといった最先端技術の基盤となっています。今まさに世界中の研究者や企業が、量子力学を武器に新しい時代を切り拓こうとしています。
 本講義は、電気電子工学科の4年S1S2タームに開講されている「量子力学II」とあわせて履修することで、量子力学の重要な基礎概念を一通り習得できるよう設計されています。本講義では、一粒子系の量子力学に焦点を当て、演算子、行列表示、変分法、摂動論、光の吸収・放出などを体系的に学びます。講義の終盤には、時間が許す限り、バンド計算の演習や、量子コンピューティングの基礎にも触れ、量子力学がどのように未来の技術へと結びついていくのかを実感していただけるようにする予定です。
 量子力学を学ぶことは、最先端技術の原理を知り、次の社会を自らの手で創り出す力を養うこととも言えます。本講義でその基礎を身に着けて頂けることを期待しています。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
FEN-EE3212L1
FEN-EE3212L1
量子力学Ⅰ
大矢 忍
A1 A2
水曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学部
授業計画
1. 量子力学の基本知識の復習 2. シュレーディンガー方程式の応用例    調和振動子の量子化 3. 行列と状態ベクトル    演算子の行列表示    波動関数のベクトル表示と行列の対角化    シュレーディンガー表示とハイゼンベルグ表示 4. 時間を含まない近似的解法    変分法、時間に依存しない摂動論 5. 時間を含む摂動論 6. 光の量子論と光の吸収放出    光の量子化    光子数状態と光の吸収・放出    電気双極子遷移の選択則 7. 応用/実践演習(時間があれば)    強束縛近似法を用いたバンド計算(MATLAB利用)    量子コンピューティングの基礎   (量子ゲート操作、量子フーリエ変換、ショアのアルゴリズムなど)
授業の方法
242号講義室とオンラインとのハイブリッド形式で行います。
成績評価方法
小レポート、期末試験の合計点。単位取得には、期末試験の受験が必須です。
教科書
「量子力学 I, II」 小出昭一郎著、裳華房 の購入をお勧めします。復習に利用できると思います。
履修上の注意
基礎を固める(工学部共通)
その他
前提となる知識と項目:電子基礎物理の復習から始めます。電子物性基礎の知識は必須ではありませんが、受講していれば、量子力学が固体物理学の中でどう生かされているかが理解でき、理解が深まると思います。 応用先_分野と項目:量子力学の応用範囲は非常に多岐にわたります。電子物性第一を並行して履修すれば、量子力学の固体物理学への応用について理解することができます。また、光関係の講義を受講すると、量子力学が光情報分野でどのように生かされているか分かると思います。量子情報技術入門の受講もお勧めします。一般的には、量子力学は下記のような分野で幅広く使われています。 ・電子情報通信デバイス技術(半導体デバイス、光デバイスなど) ・固体物理学一般(半導体、金属、絶縁体、超伝導、磁性体、トポロジカル物質などの量子物質) ・エレクトロニクス分野一般 ・量子情報処理技術 事後履修:半導体物性工学,量子力学II,電子材料プロセス,電子物性第二 事前履修:半導体デバイス工学(推奨。必須ではありません。),電子基礎物理(必須),電子物性基礎(推奨。必須ではありません。),電磁波工学(推奨。必須ではありません。) 平行履修:光電子デバイス,光電子工学I,量子情報技術入門,電子物性第一