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最終更新日:2024年10月18日

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量子力学I

 近年、量子力学の概念を利用した様々な新しい電子情報通信デバイスが利用されるようになってきています。人工知能に応用されている量子コンピュータや、次世代の通信方法として期待されている量子情報通信技術のみならず、社会の至るところで活躍している様々な電子情報通信デバイスに量子力学の概念が広く利用されています。また、これからの脱炭素社会やグリーンイノベーションに向けて、新しい機能性物質を開拓していく上でも量子力学の知識は不可欠です。もはや量子力学は、現代社会を生き抜く上で常識として身に着けておくべき学問の一つであるといっても過言ではないでしょう。
 量子力学では、電子などの粒子を、「存在確率の波」として捉えます。それにより、「電子と電子の重ね合わせ」などといった、古典的な概念では到底理解できないような様々な実際の物理現象が理解できるようになります。量子力学の世界は、一見、現実とはかけ離れたものに見えますが、この考え方が、様々なデバイスの動作の基礎原理として実際に利用されています。量子コンピュータの動作原理も、このような確率的な概念により成り立っています。
 本講義は、4年S1S2タームに電気電子工学科で開講されている「量子力学II」を後に続けて受講することにより、量子力学の重要な基礎概念を一通りすべて学ぶことができるように設計されています。本講義では、特に一粒子系の量子力学に焦点を当てて、演算子、行列表示、変分法、摂動論、光の吸収放出などの概念を基本から学びます。講義の最後に、時間があれば、物質のバンド計算(MATLABによる演習形式)や、量子コンピューティングにも簡単に触れ、量子力学の応用例についても学びます。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
FEN-EE3212L1
FEN-EE3212L1
量子力学I
大矢 忍
A1 A2
水曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学部
授業計画
1. 量子力学の基本知識の復習 2. シュレーディンガー方程式の応用例    調和振動子の量子化 3. 行列と状態ベクトル    演算子の行列表示    波動関数のベクトル表示と行列の対角化    シュレーディンガー表示とハイゼンベルグ表示 4. 時間を含まない近似的解法    変分法、時間に依存しない摂動論 5. 時間を含む摂動論 6. 光の量子論と光の吸収放出    光の量子化    光子数状態と光の吸収・放出    電気双極子遷移の選択則 7. 応用/実践演習(時間があれば)    強束縛近似法を用いたバンド計算(MATLAB利用)    量子コンピューティングの基礎   (ブロッホ球、量子ゲート操作、量子フーリエ変換、ショアのアルゴリズムなど)
授業の方法
242号講義室とオンラインとのハイブリッド形式で行います。
成績評価方法
小レポート、期末試験の合計点。単位取得には、期末試験の受験が必須です。
教科書
の購入をお勧めします。復習に利用できると思います。
履修上の注意
基礎を固める(工学部共通)
その他
前提となる知識と項目:電子基礎物理の復習から始めます。電子物性基礎の知識は必須ではありませんが、受講していれば、量子力学が固体物理学の中でどう生かされているかが理解でき、理解が深まると思います。 応用先_分野と項目:量子力学の応用範囲は非常に多岐にわたります。電子物性第一を並行して履修すれば、量子力学の固体物理学への応用について理解することができます。また、光関係の講義を受講すると、量子力学が光情報分野でどのように生かされているか分かると思います。量子情報技術入門の受講もお勧めします。一般的には、量子力学は下記のような分野で幅広く使われています。 ・電子情報通信デバイス技術(半導体デバイス、光デバイスなど) ・固体物理学一般(半導体、金属、絶縁体、超伝導、磁性体、トポロジカル物質などの量子物質) ・エレクトロニクス分野一般 ・量子情報処理技術 事後履修:半導体物性工学,量子力学II,電子材料プロセス,電子物性第二 事前履修:半導体デバイス工学(推奨。必須ではありません。),電子基礎物理(必須),電子物性基礎(推奨。必須ではありません。),電磁波工学(推奨。必須ではありません。) 平行履修:光電子デバイス,光電子工学I,量子情報技術入門,電子物性第一