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最終更新日:2026年10月16日

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電子物性第一

<量子から理解する固体中の電子 ― バンド構造・電子輸送からデバイスへ> 半導体、金属、絶縁体など、物質はそれぞれ異なる電気的・光学的性質を示します。こうした物質の性質を理解し、電子デバイスや光デバイスの動作を考えるための鍵は、「結晶中の電子がどのようなエネルギー状態をとり、どのように運動するか」にあります。本講義では、量子力学を出発点として、固体中の電子のバンド構造と電子輸送の基礎を学び、それらが実際の電子・光デバイスの特性とどのように関係するかを理解します。 前半では、結晶格子と逆格子、ブロッホの定理、周期的ポテンシャル中のシュレディンガー方程式を学び、エネルギーバンドがどのように形成されるのかを理解します。Si、Ge、GaAs、窒化物などの代表的な半導体を例に、バンドギャップ、直接遷移・間接遷移、有効質量などの違いが、トランジスタ、発光・受光デバイス、高周波・パワーデバイスなどの材料選択や特性にどのようにつながるかを学びます。 後半では、有効質量、電子と正孔、フェルミ分布、ボルツマン輸送方程式を通して、電流、抵抗、移動度など電子輸送の基本原理を理解します。さらに、フォノンや不純物による散乱を学び、温度や不純物濃度によって電気伝導がどのように変化するのか、また、それらが半導体デバイスの性能をどのように左右するのかを考えます。 これらを通して、MOSFETをはじめとする半導体デバイス、LED・レーザーなどの光デバイス、高周波・パワーデバイスの動作を物性の立場から理解するとともに、金属、トポロジカル物質、量子材料など、現代の固体物理へと発展するための基礎を身につけることを目指します。 電気電子工学科では、「電子物性基礎」「電子物性第一」「電子物性第二」を通して固体物理学を学びますが、本講義はちょうどその中間に位置します。量子力学と固体の基礎から出発し、電子・光デバイスを支えるバンド構造と電子輸送を学ぶとともに、「電子物性第二」で扱う多彩な固体物性へとつながる基礎を身につけます。「電子物性基礎」の履修は必ずしも必須ではありませんが、履修していれば、理解をより一層深めることができると思います。
物質(特に半導体)の物性、エネルギー帯構造(バンド構造)、電子(キャリア)輸送現象などについて基礎的理解を深める。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
FEN-EE3206L1
FEN-EE3206L1
電子物性第一
大矢 忍
A1 A2
金曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
工学部
授業計画
I 結晶内電子のエネルギー帯構造 結晶内の電子は定常的にどのようなエネルギーをとることができるのか? 周期的ポテンシャル中でシュレディンガー方程式を解くことにより、エネルギー帯構造(バンド構造)を導き、明らかにする。バンド構造を見れば物質の物性のほとんどがわかる、と言ってよい。シリコン(Si)、Ge、GaAs、窒化物など、エレクトロニクスで使われる重要な半導体のバンド構造を理解し、その見方と特色を学ぶ。 1.格子と逆格子 2.ブロッホの定理:結晶中の波動関数の性質 3.周期場におけるシュレディンガー方程式 4.ほとんど自由電子に近いモデル 5. 周期的ポテンシャルを導入したときのバンド構造 II 電子輸送現象 固体(半導体、金属)中の電流や抵抗は何で決まるのか? キャリアの有効質量(有効質量近似)という概念を導入し、電子の運動を記述するボルツマンの輸送方程式を導く。散乱における緩和時間近似と量子力学の摂動論を用いることによって、電子の散乱、オームの法則、抵抗率、移動度が何で決まるかなど、物質の電気的性質や電子デバイスの性能を左右する電子(キャリア)輸送現象の基礎を学ぶ。 1.有効質量 2.ボルツマン方程式 3.散乱の緩和時間近似 4.電流の表式(拡散電流・ドリフト電流)とアインシュタインの関係式 5.正孔 (hole) 6.散乱因子と移動度 格子振動とフォノン散乱 イオン化不純物散乱
授業の方法
板書およびスライド
成績評価方法
講義内容の理解を深めるためのレポート課題と期末試験による
履修上の注意
<事前履修> 電気磁気学,電子基礎物理,電子物性基礎,半導体デバイス工学,数学演習,数学1、数学2 <並行履修> 量子力学Ⅰ,光電子デバイス,光電子工学Ⅰ,量子情報技術入門 <事後履修> 量子力学Ⅱ,電子物性第2,半導体物性工学,電子材料プロセス,卒業論文
その他
<前提となる知識・項目> 基本的な電磁気学、量子力学 <応用先・項目> 固体物理学、材料科学のさまざまな物質科学分野 電子デバイス、光デバイスなど、様々なデバイス