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最終更新日:2026年4月20日

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電子物性基礎

 現代の情報社会は、目に見えない「電子」の振る舞いを巧みに制御することで成り立っています。スマートフォンのプロセッサ、データセンタの巨大な記憶装置、量子コンピュータの試作機、そして次世代の人工知能ハードウェア――これら最先端の技術はすべて、「固体の中で電子がどのように動くか」という物理法則の理解の上に築かれています。
 例えば、半導体は抵抗率を自在に制御できるという性質により、トランジスタとして現代の計算機の根幹を支えています。また、光と電気を相互に変換する能力によって光通信や光デバイスの動作を可能にし、情報伝送の限界を押し広げてきました。強磁性体は、単なる磁石にとどまらず、データセンタの超大容量ストレージや、電子の「スピン」という自由度を利用するスピントロニクスの基盤材料となっています。強誘電体は、交通系ICカードのような身近な記録媒体から、人工知能をハードウェアとして実装するニューロモルフィックデバイスに至るまで、新しい情報処理の可能性を切り拓いています。さらに、超伝導体はゼロ抵抗という極限的な性質により、量子コンピュータ、超高感度センサ、低損失電力技術など、未来の基幹技術を支える重要な役割を担っています。
 これらの多彩で驚異的な性質は、単に原子の種類だけで決まるものではありません。原子が形成する結晶構造、そしてその中で電子や結晶格子などが示す量子的な振る舞いによって決定されます。この微視的な世界の理解こそが、新しい機能を持つ材料や革新的なデバイスを生み出す鍵となります。すなわち、固体物理学を学ぶことは、「既存の技術を理解する」だけでなく、「まだ存在しない技術を創り出すための言語」を身につけることに他なりません。
 本講義「電子物性基礎」では、固体中の電子の振る舞いを理解するための基本概念を学び、半導体、磁性体、誘電体などの物性がどのような物理原理に基づいて現れるのかを、量子論に立脚して体系的に理解することを目標とします。これらの内容は、量子デバイス、ナノエレクトロニクス、光エレクトロニクス、量子情報技術など、皆さんが今後関わる可能性のある多くの先端分野の基礎となるものです。
 本講義は、3年A1A2開講の「電子物性第一」および4年S1S2開講の「電子物性第二」へと続く一連の講義の出発点です。これらを通して固体物理学を体系的に学ぶことで、最先端の研究論文を理解し、新しい物理現象やデバイスの創出に主体的に関わるための基礎力を身につけることができます。
 皆さんの中から、次世代の情報技術や量子技術を切り拓く研究者・技術者が生まれることを期待しています。本講義が、その第一歩となることを願っています。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
FEN-EE3204L1
FEN-EE3204L1
電子物性基礎
田畑 仁
S1 S2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学部
授業計画
0.イントロダクション 4/7 1.量子力学基礎    4/7 2.格子振動      4/14 3.フォノン・群速度  4/21 4.結合力       4/28 5.金属伝導の古典論  5/12 6.自由電子モデル   5/19 7.固体の帯理論     5/26 8.結晶構造,逆格子   6/9 9.光学的性質      6/16 10. 誘電的性質 1,2    6/30, 7/7 11.磁気的性質      7/14 -------------------------------------------- 0. Introduction 1. Quantum theory 2. Phonon mode 3. Metallic conductivity 4. Free electron model 5. Band theory 6. Chemical bonding 7. Crystal structure and reciprocal lattice 8. Dielectric properties 9. Optical properties 10. Magnetic properties
授業の方法
講義
成績評価方法
出席または小レポート、期末試験
履修上の注意
各回ごとに小レポート課題を課します。講義内容を復習しつつ課題に取り組むことで、基礎的な理解の定着を図ります。