講義予定と各回の概要
●第1回:4月10日:酒井 康行
「ガイダンス」: 講義の狙い、講義予定、履修方法、社会的背景などを説明する。
●第2・3回:4月17日・24日:
佐藤 知一(日揮株式会社・データインテリジェンス本部DIプランニング・部長)
「エンジニアリングとプロジェクトマネジメント」: 『エンジニアリング』とは、化学の研究成果を、化学プラントという姿に実現化する仕事である。それはプロセスシステムの設計から始まって、機械・装置の選定と調達、建設工事の管理、そして試運転・量産開始までを統括する大きなプロジェクトである。本講義では、化学技術者の活躍の場であるエンジニアリングという仕事の特徴と、ビッグ・プロジェクトをマネジメントするための手法論について実例を通じて学ぶ。
●第4回:5月8日:酒井 康行
「技術者倫理演習(1)」: 技術者倫理に関わる事例の中から、問題点や対策についてグループ討論を行い、2回目までに討論結果をまとめる。履修のためには出席が必須。
●第5・6回:5月15日・22日:
岡田 佳巳(千代田化工建設株式会社・技術開発部・技師長)
「水素の大規模貯蔵輸送技術の開発」: 本講義では、国策として実用化/普及が目指されている水素エネルギーの我が国における意義と政策動向、エネルギーキャリアとして注目されている水素の大規模貯蔵輸送技術の開発動向、および世界的な脱炭素の潮流として注目されているCCUS技術の動向を解説するとともに、気候変動/地球温暖化防止に向けた将来の展望を考察する。
●第7・8回:5月28日および6月5日:
古関 恵一(JXTGエネルギー株式会社・中央技術研究所・フェロー)
「エネルギー動向最前線」: エネルギーは環境対応・資源の枯渇、安心安全のみではなく、それらを含む利用に際しての全体的な経済性とその背景にある需給の存在など見えにくいが重要なポイントが存在する。昨今、この見えない点が再生可能エネルギーの普及・社会実装のネックになっている事例が多い。グループ議論と講義を通じ、「エネルギー動向」の最前線の議論を掘下げたり、イシューからソリューションを導く考えに親しんだりする機会となることを目指す。
●第9回:6月12日:酒井 康行
「技術者倫理演習(2)」:グループ討論結果を発表し、全員で討論する。討論結果を踏まえたレポートを当日指定する日時までに提出する。
●第10・11回:6月19日・26日:
鈴木 康弘(第一三共株式会社・製剤技術研究所・主任研究員)
「医薬品生産技術における化学工学の役割」: 医薬品開発の流れについて理解した上で、医薬品を製造する技術開発がどのように行われているか、その中で化学工学の知識・技術がどのような場面で活用できるかについて、講義の中で紹介する事例を通して学ぶことを目的とする。また、現在製薬業界で起こっている製造技術転換の流れを踏まえ、自身の専門知識や技術が医薬品産業でどのように応用できるか考える機会とする。
●第12・13回:7月3日・10日:
岩木 義英(セルトラスト・アニマル・セラピューティクス(株)・臨床診断開発部門/細胞培養検査部門・部門長)
「再生医療実用化に向けて異業種からの取組み」: 近年、再生医療は注目を浴びているが、社会貢献する事業として育てるためにはまだまだ課題は多い。その中で、異業種の化学会社である富士フイルムが事業化を目指していかに取り組んでいるか、技術面と戦略面から説明する。化学技術をどう医療につなげていくのか、という狙いとともに、早期事業化を目指して、人医療だけでなく獣医療からも再生医療を推進する富士フイルムの特徴ある取組みについて述べる。
●第14回:7月17日:
高宮 寿美(デロイトトーマツコンサルティング合同会社・シニアコンサルタント)
「我が国の化学産業における研究開発:強み弱みと期待」: 「イノベーション」が注目されて久しいが、化学産業は多大な投資を必要とするためITやサービス業の方法論の踏襲が難しい。基本的にイノベーター志望の企業は、自らの技術を核に異業種への参入を志し、技術や商流の補完のためM&A、企業間連携を実行する。これらのステージで遭遇する研究開発上の壁を紹介するとともに、成功に向けて技術者に求められるであろう役割を考察する。