まず典型的な共役π電子系分子を例にとり、多原子系・多電子系としての量子力学的な理解を、対称性による分類を交えつつ解説します。そしてこれらの理解が、主として電子と光(電磁波)の相互作用にもとづく観測や物質の同定に直結するといった基礎的事項を解説します。またこれら物質を同定するための最重要の手段である結晶構造解析の考え方や、表面を原子レベルで同定可能な走査型プローブ顕微鏡についても講義します。その上で、多彩な分子設計の可能な有機分子を構成要素とする分子集合体が示す液晶や固体の各種電子機能と、これらを用いた半導体デバイスの構成について解説します。
第1回 本講義の狙いと概要、量子力学の復習
第2回 多電子原子、Hartree-Fock近似など
第3回 水素分子・分子振動
第4回 π電子系の電子構造と光吸収スペクトル
第5回 分光学と電子スペクトル
第6回 分子振動とその観測、遷移選択則
第7回 磁気共鳴、各種分子の同定法
第8回 結晶構造解析
第9回 走査型トンネル顕微鏡と原子間力顕微鏡
第10回 走査型トンネル分光、非弾性トンネル分光
第11回 分子集合体、π電子系の基本特性
第12回 液晶・強誘電体・半導体
第13回 電界効果トランジスタとその応用