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最終更新日:2024年10月18日

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科学技術政策研究:法学系(企業の技術戦略と国際公共政策)

企業の技術戦略と国際公共政策(事例研究)ー「非市場戦略」の研究
本事例研究は、企業が経営戦略・技術戦略として公共政策形成にいかに関わるか、とくに国際ルールの形成にどのように関わり、国際ルールをどのように利用しているか、の実務を学ぶことを狙いとする。今日、企業のほうが情報を有する先端技術、AI、ライフサイエンス等について政府の政策形成手続に企業や専門家が関わる度合いが高まっている。また経済制裁、経済安全保障、人権などの公共政策にどう関わるか等の対政府渉外活動、あるいは、いわゆる「非市場戦略」の企業にとっての重要性が高まっているのみならず、技術開発・海外投資等の経営戦略との複合的な考慮が必要となっている。脱炭素・プラスチックごみ対策など公共政策の変化が技術革新を要求し、標準化の巧拙が技術競争の重要な要素になってきていることはその現れである。また関税や投資規制・保護等のルールは、サプライチェーンの構築に大きく影響する。国際ルールの比重が高まり、かつ国際ルール形成における企業・NGOなど非政府機関の関与する機会が増加している今日においては、国際ルール形成に関わる企業戦略の巧拙が業績に大きく影響する。同時に、Brexitに見られるように、国家の規制主権を取り戻そうとする動きもあり、対象の動きは複雑化している。

こうした活動を立案・実施するためには、法と政策に関わる知見に加え、技術に関する知見も必要であり、総合的な専門性が必要とされるが、必要な専門能力・経験を備えた人材は不足している。この現状に鑑み、企業が国際公共政策に関わるとはどういうことか、とくに、技術戦略にどのような影響があるか、どのような関わり方によって目的を実現できるか、とくに、技術的なソリューションをどのように組み合わせるか、そのために必要な能力・知見は何か等について、企業活動の最前線でルールの立案・交渉・実施にあたっている実務家の経験と知見を学び、実務につなげる。経済活動に対する国際ルールの規律の現状とその底流となる政策論の方向性、国際ルールの形成と実施のための手続の実際、かかる手続における政府、企業、NGO等のステークホルダーの関与等について、個別の事例の検討を通じて考察を深め、さらに今日的な課題にいかに取り組むかについて実践的な議論を行い、実務において直面する問題に対する解決能力を高めることをねらいとする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5172103
GPP-DP6L90L1
科学技術政策研究:法学系(企業の技術戦略と国際公共政策)
中川 淳司
S1 S2
金曜6限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
第1回から第3回は、企業の公共政策に対する関わり方の全体像のイメージをつかむことに重点を置き、企業が公共政策に関わるとはどういうことか、どのような関わり方をするか、といった総論的観点から、外資系企業、海外における日本産業の拠点などの実務家からのヒアリングを行う。第4回、および第6回から第11回までは、実務家からのヒアリングを中心に、電機、食品、銀行、保険といった産業別の違いを横糸に、およびマネーロンダリング規制、食品安全、関税分類、ESG投資といった事項ごとの違いを縦糸に(ただし項目は都合により変更される可能性がある)「非市場戦略」の実務に学ぶ。第5回は、総論的検討を踏まえ、理論的枠組みの検討を行う。第6回および第12回、第13回においては、本授業での知見を踏まえ、教科書の事例を含む事例を利用して国際経済ルールの形成・活用の方策を多角的に議論するためにグループ発表を行う。
授業の方法
担当教員が行う講義・解説、実務家を招いての個別事例に関するヒアリングと個別事例に関する参加者の発表と討論を組み合わせて行う。ヒアリングにおいては、受講者の積極的な発言が求められる。発表については、可能であれば数名のチームごととしたい。その場合、技術戦略との関りに鑑み、本授業は、理系学生にも参加可能なものとするので、文理合わせたチーム編成とする。 なおヒアリングのうち数回をオープン参加可能とする予定である。
成績評価方法
グループ発表におけるプレゼン・質疑応答を中心に、授業での質疑・討論への参加、出席点を総合して評価する。 就職活動などやむを得ない事情で授業を欠席する時は、必ず事前に担当教員にメールでその旨伝えること。その場合は出席点を減点しない。
教科書
中川淳司・米谷三以『企業の技術戦略・経営戦略と国際公共政策』(文眞堂、2024年3月刊行予定)
参考書
中川淳司・米谷三以『国際経済ルールの戦略的利用を学ぶ』文眞堂、2022年 松下満雄・米谷三以『国際経済法』東京大学出版会、2015年 中川淳司『経済規制の国際的調和』有斐閣、2008年 C.Devereaux et.al., Case Studies in US Trade Negotiation, Vol.1: Making the Rules, Peterson Institute for International Economics, 2006
履修上の注意
第1回の出席者が2名以上にならなかった場合は不開講とする場合があるので、履修希望者は第1回から出席されたい。なお、講師の都合で正規の授業日・時間に開講せず、補講期間等に開講する場合がある。その場合は事前に告知する。
その他
本科目は、理系学生の参加が可能なものとする。規格・規制が企業の技術戦略と深いかかわりがあるだけでなく、そうした分野の国際ルール形成を主導するには技術的な知見が必須であり、現実にも、実務家には理系のバックグランドを有する者は多い。 なお関連科目として、秋学期に開講が計画されている事例研究「国際経済ルールの形成と利用」がある。本科目が企業内実務家に対するヒアリングを中心とするのに対して、「国際経済ルールの形成と利用」は政府内実務家に対するヒアリングを中心として、政府が国際経済ルールを形成・利用する戦略・実務を中心に学ぶ。 なお本授業は、大学院横断型教育プログラム「科学技術イノベーション政策の科学(STIG)教育プログラム」に認定されている。 https://stig.pp.u-tokyo.ac.jp/***** This course is a part of Science, Technology, and Innovation Governance (STIG) Education Program https://stig.pp.u-tokyo.ac.jp/*****