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最終更新日:2026年9月17日

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学術フロンティア講義 (アジアでがんを生き延びる困難がひらく邂逅――困難は世界を分断するのか、つなぐのか)

アジアでがんを生き延びる―「がん」を入口に、世界の現実を考える。
講義概要・目的

「がん」を入口に、世界の現実を考える。

AI、戦争、仕事、地域、政策、科学技術、表現。いま社会で起きているさまざまな出来事は、一人ひとりの身体と暮らしのなかでつながっています。がんをめぐる現実からそのつながりを見つめることで、いつものニュースや、自分がこれから学ぶ専門にも、新しい問いが生まれます。

あなたの専門は、世界の困難とどうつながるだろう。
これから育てる知恵が、世界のどこかで新しい力になる。

駒場で専門を学び始めるいま、自分の「気になる」を、少し広い社会へつなげて考えてみませんか。一つの専門だけですべての答えを出すことは難しくても、異なる知や経験に出会うことで、専門は世界に向けて新たにひらかれます。本講義は、そのための視野と言葉を育てる場です。

本講義「アジアでがんを生き延びる」は、がんを入口に、現代社会のさまざまな課題を考える講義です。医学の予備知識は必要ありません。治療法があっても届かないのはなぜか。病気を抱えても働き、暮らし続けられる社会とは何か。技術の進歩は、誰の暮らしを変え、誰に届いていないのか。こうした問いを通して、科学、政治、経済、文化が、一人ひとりの身体と暮らしにどう関わっているかを見つめます。
日本とアジアの具体的な現場を手がかりに、研究者、医療者、政策担当者、企業人、技術開発者、表現者など、異なる領域で活動する人々の経験と思索に触れます。受講生は講師の語りを通じて、自分とは異なる立場や知に出会い、自らの専門や進路を、より広い社会的・公共的な文脈のなかで捉え直します。

講義を貫く手がかりは、「困難」「邂逅」「翻訳」「公共性」です。個人の努力だけでは越えにくい隔たりを見つけること。異なる知や経験との出会いによって、問いを捉え直すこと。専門知や固有の経験を、他者に届く言葉や仕組みに変えること。そして、一人ひとりの違いを大切にしながら、社会でともに考えられる問いへひらくことを目指します。

本講義の目的は、自らの専門の可能性と社会的な意味を見つめ、異なる知と経験を結び直しながら、自分の問いを社会への提言へ育てる力を養うことです。答えを急ぐのではなく、世界と関わるための問いを、自分の言葉で考え始める13回です。

2011年の開講以来、全学横断型の大学院講義として302回を重ねてきた本講義を、2026年度は初めて学部前期課程にもひらきます。文理を問わず、いま持っている関心から参加してください。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
51452
CAS-TC1100L1
学術フロンティア講義 (アジアでがんを生き延びる困難がひらく邂逅――困難は世界を分断するのか、つなぐのか)
河原 ノリエ
A1 A2
集中
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講義使用言語
日本語/英語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
第1回 10月5日  がんという鏡――日本はアジアにとって何者なのか (ガイダンス)|河原ノリエ(東京大学)・野田哲生(がん研・UICC-ARO)UICC-AROと本講義の16年を振り返り、がんという鏡から日本とアジアの関係を問い直す。全体ガイダンスに加え、駒場の先輩である大矢俊雄氏(国際協力銀行)、山田道子氏(元サンデー毎日編集長)からのメッセージを通じて、駒場で何を学び、それを社会へどうつなげるのかを考える。 第2回 10月12日 大学は世界の困難に間に合うのか――人文知を「役に立つ道具」にしないために|東浩紀(ゲンロン)×吉見俊哉(國學院大學) 人文知を答えの供給源にせず、前提を疑い、答えのない問いを社会へひらく学際を考える。 第3回 10月19日 治療は戦場で生き残れるか――がんとAMRから問う医療のレジリエンス|坂野哲平(GENARK) ウクライナのがん支援から、医療が壊れる場所で生命をつなぐ技術・協力・レジリエンスを考える。 第4回 10月29日 がん研究はアジアの未来をつなげるか|中釜斉(AMED) 研究から診療・予防・政策・社会実装までの断絶を越え、成果をアジアの医療へ翻訳する道を探る。 第5回 11月2日 未来はいかに政策になるのか――理念を制度へ翻訳する|武見敬三(元厚生労働大臣) 理念と科学的根拠が、政治的優先順位・予算・制度・国際枠組みへ翻訳される過程を学ぶ。 第6回   12月7日 習慣という「狂気」――人は自分をどこまで変えられるか|田中渓(投資家・アスリート)×佐々木一茂(東京大学 大学院総合文化研究科 准教授) 習慣化と運動科学を交差させ、意志・身体・継続と、健康を可能にする環境の関係を考える。  第7回12月14日 希望は足元から始まる――喪失を抱えて歩く|玄田有史(東京大学副学長・希望学)×垣添忠生(日本対がん協会) 希望学と歩く実践から、喪失を抱えながら一歩ずつ希望をつくるとは何かを考える。  第8回12月21日 都市しかない未来でいいのか|安宅和人(慶應義塾大学教授、LINEヤフーシニアストラテジスト) 人口減少下で地域の基盤を組み直し、DX・AIで『都市しかない未来』以外の選択肢を構想する。 第9回12月28日 科学は次世代に何を手渡すのか――人の可能性から未来を開拓する|安永好宏(福島医大・CYBERDYNE) サイバニクスを通して、科学を社会へひらき、人の自立と尊厳を支える未来の実装を考える。 第10回 1月7日 AIはがんを詠めるか――経験を生きる身体と、言葉を生成する知性|茂木健一郎(東京大学大学院客員教授)×堀田季何(詩歌作家/日本文藝家協会評議委員) 脳科学とがん俳句を交差させ、AI時代の身体的経験・創造性・共感の条件を問い直す。 第11回 1月11日 売るのではなく、よきことを伝える 予防医学・健腸長寿・手に入れられる価格という思想から、知恵を暮らしに根づかせるシロタイズムを考える。 第12回 1月18日(5限) 固有性は、公共性をつくれるか――United by Unique 一人ひとりの問いを、世界に共有する|北風祐子(電通) World Cancer Dayの実践から、固有の経験を公共的な言葉へ翻訳する力と危うさを考える。 第13回 1月18日(6限) BETTER TOGETHER――大学の知と企業の実践知が出会い、アジアの未来を構想する 人が生き延び、働き、暮らし続けられる社会を、大学の知と企業の実践知は、ともにどう構想できるのか。企業は、社会の「生き延びる力」をどこまで担うのか。企業は社会問題を利用して成長するのではなく、その解決に責任を持ち、人が生き延び、働き、暮らし続けられる社会を支えることと、自らの持続的な成長を両立できるのか。大学と企業の対話を通して、その可能性と限界、そしてアジアの未来における企業の役割を考える。
授業の方法
医学・生命科学の予備知識は必要としない。 最終課題では、複数回の講義で得た視点を結び合わせ、自らの専門や関心から生まれた問い、または提案をまとめる。 対面での受講を推奨する。ただし、やむを得ず対面で出席できない回は、オンラインまたはオンデマンドで受講できる。
成績評価方法
成績評価 成績評価は、出席40%、最終課題60%により行います。 出席(40%) 毎回の授業について、出席確認のため、UTOLでリアクションペーパーを提出してください。リアクションペーパーは出席確認のためのものであり、その内容自体は評価しません。提出の有無をもって、その回の出席とみなします。 原則として対面での受講が望ましいですが、やむを得ない事情により対面参加が難しい場合は、オンラインまたはオンデマンドで受講したうえで、必ずリアクションペーパーを提出してください。 リアクションペーパーは、知識の正誤を問うものではありません。各回の授業で生まれた問いや、自分の考え方・関心の変化を記録するためのものです。最終課題のレポート作成に向けた重要な準備として、毎回の授業内容を振り返りながら取り組んでください。 最終課題(60%) 最終課題では、複数回の講義内容を関連づけて考察できているか、自らの専門や関心の前提・限界を捉え直せているか、そして専門外の人にも伝わる問いまたは提案として表現できているかを評価します。
履修上の注意
医学・生命科学の予備知識は不要である。教室にての受講が難しい場合は オンライン受講 またはオンデマンド受講で補う。教室・配信・講師等の最新情報はUTAS・UTOLで確認すること。
その他
本講義は集中講義の枠で、主として月曜日5限にオムニバス形式で実施するが、曜日・時限が異なる回がある。1月18日は5限・6限の連続開講を予定している。講師、会場、実施形式は都合により変更される場合があるため、必ずUTAS・UTOLの最新情報を確認すること。第一線の講師と直接対話できる機会を、専門選択や研究・進路を考えるために積極的に活用してほしい。
実務経験と授業科目の関連性
政策、国際保健、がん研究、医療支援、企業経営、技術開発、表現などの現場経験をもつ講師が、実務で直面した判断・失敗・翻訳・連携を具体的に語る。受講生は理論を知識として覚えるだけでなく、専門知が社会でどう使われ、どこで限界に直面するかを学び、自らの専門と進路に引き寄せて考える。