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最終更新日:2024年10月1日
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全学自由研究ゼミナール (国連とインクルージョン)
国連とインクルージョン
2015年、国連で193カ国の首脳によって採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」。SDGsは、2016年から2030年までの国際の優先事項を定めたもので、「誰一人取り残さない(Leaving no one behind)」こと、すなわち「インクルージョン」をコア概念としている。
国連では、女性、子供、移民・難民・国内避難民、先住民・少数民族、障害者、高齢者、LGBTI等のインクルージョンが重点課題とされている。偏見や差別により周辺化された人々は、身体的・性的暴力や殺人を含む人権侵害、貧困をはじめとする様々な開発上・心理上の困難に曝されることが多い。また、国際社会においては、障害、LGBTI、精神保健等、テーマ自体が周辺化されることもある。
2023年度A1ターム「国連とインクルージョン」では、「誰一人取り残さない」ことや「インクルージョン」をメインテーマに、「精神保健・心理社会的ウェルビーイング」と「精神障害・知的障害のある人のインクルージョン」を具体例として検討する。また、苦しい立場にある人への「こころのケア」についても学ぶ。
SDGsでは、「精神保健・心理社会的ウェルビーイング」が初めて国際の優先事項として含まれた他、5つの目標が障害に言及しており、今後の開発・人権を考える上で重要な分野である。中でも、感情や心のウェルビーイング、精神障害・知的障害は目に見えにくく、スティグマや偏見も強いため、周辺化されやすい。開発途上国では、精神・知的障害者に対する殺人や暴力等が多く見られる他、閉鎖施設等で鎖に繋がれる等、重篤な人権侵害が後をたたない。一方で、4人に1人が精神疾患を経験し、OECDによると精神疾患による経済的コストはGDPの4%以上である。また、世界銀行とWHOは、精神保健に対する1ドルの投資は、3ドルの利益を生むとしている。また、心理的応急処置(PFA)等、一人ひとりがこころのケアのためにできる手法も確立されてきている。
国連では、2006年に障害者権利条約が採択され、批准国においては精神・知的障害も含む障害者のインクルージョンが法的義務となった他、SDGsや仙台防災枠組でも優先事項に含まれた。しかし、これらの実施をめぐっては、差別的態度を含む社会的障壁、身体拘束や強制入院、重度の障害や認知症を持っている人々の意思決定や社会参加、精神障害者や知的障害者のアクセシビリティーの確保方法、予算・人材確保等をめぐり、難しい課題が多い。
本講義では、国連機関職員や当事者を含む講師から世界と現場の状況を学びつつ、心のウェルビーイングと多様性をめぐる国際社会の新しい解決策を考える。また、これを通して、国連の実際およびインクルージョンについて学ぶことを目的とする。
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全学自由研究ゼミナール (国連とインクルージョン)
井筒 節
A1
木曜4限
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
不可
ー国連システムや持続可能な開発目標(SDGs)とは本当は何か
ー世界の精神保健・心理社会的支援の現状とこころのケア
ー障害者の権利をめぐる国際枠組み
ー国連職員、JICA関係者、障害当事者による講義(予定。変更の可能性あり)
ー若者による先進的な取り組み
ー国際社会の新しい解決策をめぐるディスカッションと提言の作成
等
担当教員は、元国連職員であり、本分野における政策策定やプログラム実施を率いた実務経験がある。