次のように本分野において様々なバックグラウンドを持つ専門家5名による7回のオムニバス形式とする。
イントロダクション:類の永続的繫栄のために必要な核融合(篠原教授:対面実施)
今日の不安定な世界情勢で、エネルギー源の安全保障が再認識されている。また、エネルギー問題は、エネルギーだけの問題ではなく、社会問題の解決にも間接的に関与している。このような点を踏まえ、核融合エネルギーの特徴と可能性を紹介するとともに、本講義の概要(講義内容等)を説明する。 対面にて実施する。
プラズマと核融合(篠原教授)
核融合が起きている時の燃料の状態はプラズマである。実は宇宙のほとんどの物質の状態がプラズマである。プラズマとはどういうものなのか、後の講義を理解するために必要な知識を解説する。そして、そのようなプラズマを閉じ込めて、核融合を実現するための装置の基本的な仕組みを解説する。
JT-60SAとITER(篠原教授)
核融合研究の最大のプロジェクトは、日本を含めた6つの国とEUがフランスに建設中の燃焼プラズマ実験炉ITERである。この装置で人類は初めて自己燃焼プラズマを得る。このITERをサポートしつつ、さらなる、性能向上に資するのが、日本とEUとで進めている先進トカマクJT-60SAであり、茨城県の量子科学技術研究開発機構に建設された。これらのプロジェクの位置づけと現状を紹介する。
核融合炉に必須の最先端材料科学(梶田教授)
核融合を地上で実現するためには,1億度のプラズマを炉で覆う必要がある。その結果,炉壁には太陽の表面に匹敵するほどの高い熱と多くのエネルギー粒子にさらされることになる。炉壁の近くでのプラズマ及び炉材料の表面で起こる複雑なプロセスを理解し制御する必要があり,その研究の最先端を紹介する。
計算機シミュレーションによる核融合プラズマの理解と予測(佐藤准教授)
プラズマは電磁場と相互作用する膨大な個数の荷電粒子の集団である。電磁場は荷電粒子の運動に影響を与え、荷電粒子の運動は電磁場に影響を及ぼす。この相互作用に起因したプラズマの複雑な挙動の理解と予測を目的として、核融合分野では計算機シミュレーションが発展してきた。スーパーコンピュータを用いた最先端のシミュレーション 研究を紹介する。
医用画像診断の手法を応用したトロイダルプラズマ断層像イメージング研究(田辺准教授)
X線CTやMRIに代表される医用画像診断では、人体断面の断層写真をどのように撮像しているのであろうか?レントゲン写真のような投影像を複数方向から取得し、被写体の断面構造をイメージングする手法はコンピュータトモグラフィ(CT)と呼ばれ、数学的に相似であれば同手法の応用は断層写真撮像に限らない。磁力線のかごの中に閉じ込められたトロイダルプラズマの内部で、様々なパラメータがどのような構造を形成しているのか「診断」する手法の基礎及び応用例を紹介する。
核融合プラズマと宇宙プラズマ現象の関わりと利用(齋藤准教授)
核融合科学は多くの分野と学際領域を形成しており、実験室から宇宙空間までプラズマが関わる幅広い現象には共通の物理機構が見られる。宇宙プラズマの知見を取り入れた先進核融合の取り組みや、逆に核融合プラズマの研究で得られた荷電粒子閉じ込め技法を利用した、実験室での宇宙プラズマ現象の解明や反物質プラズマ実現に向けた研究の現状を紹介する。