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最終更新日:2024年4月22日

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事例研究(現代行政I)

デジタル時代の行政
デジタル社会とは、どのような社会か。その一つのイメージは、あらゆるものがインターネットで連結された、国境のない世界だろう。人はアバターとなり、政府はポータルサイトを設置し、多様なサービスをワンストップで提供する。これまでの人間社会で見られたような障壁が取り払われ、物質的な制約から自由に情報が広く飛び交うのである。

しかし、現実のデジタル社会は、そのようにはできていない。長距離の通信を支える光ファイバーの海底ケーブル、莫大な情報を蓄積するデータセンター、キャッシュレス決済のための端末など、一見するとデジタル化された社会は、相変わらず物質的な基礎の上に成り立っている。国境を越えればインターネット規制のために閲覧できないサイトがいくつもあり、UBERやNETFLIXなどといった一見するとグローバル化されたプラットフォームも、実際には各国の法制度に合わせて異なるサービスを提供している。

その意味において、デジタル社会においても、相変わらず国境はあり、政府が重要な役割を果たしている。そうだとすれば、デジタル社会は、どのように生まれ、変容し、今日に至ったのだろうか。この授業では、この発展過程を理解するのに役立つ日本語および英語文献を輪読する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5140041
GPP-MP6Z40S1
事例研究(現代行政I)
前田 健太郎
A1 A2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
毎回、報告者を決め、文献の内容を紹介するとともに、それを踏まえて、日本のデジタル社会への新たな視点を提示することを求める。分量は各回で異なるが、30頁から50頁程度を読むことを求める。文献は、こちらでスキャンしたものを配布する。
授業の方法
報告者による文献の内容の紹介に続いて、全員でその内容を検討する。
成績評価方法
報告内容および授業への参加の程度によって評価する。
教科書
特定の教科書は用いない。現在のところ、以下のような文献を読むことを予定している。 佐藤俊樹 2010 『社会は情報化の夢を見る[新世紀版]』河出文庫 トム・スタンデージ 2011 『ヴィクトリア時代のインターネット』NTT出版. ショシャナ・ズボフ 2021 『監視資本主義』東洋経済新報社. マーガレット・オメーラ 2023 『THE CODE』KADOKAWA. Hu, Tung-Hui. A Prehistory of the Cloud. MIT press, 2015. Starosielski, Nicole. The undersea network. Duke University Press, 2015. Acland, Charles R., et al. Signal traffic: Critical studies of media infrastructures. University of Illinois Press, 2015. Crawford, Kate. The atlas of AI: Power, politics, and the planetary costs of artificial intelligence. Yale University Press, 2021. Bratton, Benjamin H. The stack: On software and sovereignty. MIT press, 2016.
参考書
人間社会のデジタル化が政治に及ぼす影響に関する基本的な論点を押さえておきたい人は、羅芝賢・前田健太郎『権力を読み解く政治学』(有斐閣、2023)の第9章第3節を一読しておくとよい。この授業では、そこから一歩深く踏み込み、デジタル化という現象それ自体をもたらした政治力学を検討したい。
履修上の注意
毎週3~5時間程度の予習が必要となるので注意すること。