初回の講義にて授業全体の概要を説明し、その後、西洋美術史(秋山聰・芳賀京子)、東洋美術史(板倉聖哲、塚本麿充)、日本美術史(高岸輝)の各分野について、4回ずつの講義を行う。各地域における美術史(絵画・彫刻・工芸・建築・デザイン)の展開を概説するとともに、すべての地域に共通する次のような課題に重点をおくこととしたい。
(1)皇帝や天皇など、権力者による美術作品の制作とコレクションの形成。
(2)キリスト教・仏教などの宗教と美術品の制作・活用の実態。
(3)画家・彫刻家・建築家など、芸術家の制作活動の実態。
(4)絵画・彫刻・工芸・建築など各分野の相互交流。
(5)各分野における技法・材料・保存・修復にかかわる問題。
(6)各地域の中央と周縁における美術の影響関係。
(7)ユーラシア大陸、東アジア海域など、広域にわたる美術の相互影響関係。
(8)古典的規範の形成と、その再生の問題。
(9)芸術家の伝記や作品の評価など、美術史的なものの見方の形成過程。
(10)美術品の鑑定・売買・流通を通じた経済活動としての側面。
(11)複製や出版など、メディアとしての美術の広がり。
(12)遠近法や写真など、同時代の科学技術との関係。
(13)詩歌・散文などの文学と美術との関係。
(14)現代社会における美術館・博物館の意義と機能。