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最終更新日:2024年4月22日

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電力ネットワーク政策

 電力システム改革が進行しており,日本の電力システムは大きく変貌しつつある.その中で,電力ネットワークに関する制度設計と運用が電力システム改革の中核的な役割を果たすことが明らかになってきた.電力システムの技術的特性から発送電分離後の市場設計は複雑かつ高度に専門的であるので,その全体像を理解することは容易でない.この授業は,政策形成に携わっている実務家が日本における電力ネットワーク政策の概要を分かりやすく解説することによって,現実を踏まえたバランスのとれた理解を育むことを目的とする.また,日本に先駆けて電力市場改革が進んできた海外諸国との比較や電力市場の経済理論についても紹介し,最先端の知見を提供する.
 電力市場の自由化が進んだ後の電力システムを担う人材に必要とされる能力は,これまでの発送電一体のもとでのものとは異ならざるをえない.電気工学に加えて,経済学やオペレーションズ・リサーチの理解が必須であり,これに対応した新しいタイプの学際的な教育が求められている.この授業は様々なバックグラウンドを持つ学生諸君に開かれており,そのなかから新しい電力システムを担う人材が輩出されることを期待している.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5130310
電力ネットワーク政策
金本 良嗣
S1 S2
月曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
1. イントロダクション:授業の狙いと概要 2. 電力システム改革の概要:電力システム改革の背景,狙い,政策体系 3. 電力システムの技術的特性と電力市場の制度設計:貯蔵不可能性と瞬時瞬時の需給バランスの必要性,送配電及び系統運用における規模の経済,起動コスト,最低出力,ブロックローディング等の発電技術における非凸性,米国ISOにおける3部構成のビッド(起動コスト,増分エネルギー費用,無負荷費用) 4. 日本の電力市場の基本構造:エネルギー市場,調整力市場,容量市場,インバランス料金制度,FIT制度等 5. 日本の電力ネットワークの特徴:くし形ネットワーク+ループ系統,地域間連系線,各種電源の分布,等々 6. 電力市場の経済理論:電力供給,発電キャパシティー,送電網投資,系統アクセス等に関する社会的最適と競争市場 7. 信頼度評価 8. 容量市場 9. 調整力市場 10. インバランス料金制度 11. 系統アクセス 12. 送電網投資 13. 市場支配力対策
授業の方法
講義とディスカッション
成績評価方法
期末レポート,小課題,ディスカッション貢献度等による。
教科書
特になし。
参考書
ミクロ経済学の教科書:  清野一治『ミクロ経済学入門』日本評論社,2006年  八田達夫『ミクロ経済学Expressway』東洋経済新報社,2013年 電力市場の教科書:  Stoft, S. , (2002), Power System Economics, Wiley-IEEE Press.  Darryl R. Biggar, Mohammad Reza Hesamzadeh, The Economics of Electricity Markets (Wiley - IEEE), 2014/9/22.  Allen J. Wood, Bruce F. Wollenberg, Gerald B. Sheblé, Power Generation, Operation, and Control, Wiley-Interscience, 2013/3/20.  Anna Cretì, Fulvio Fontini, Economics of Electricity: Markets, Competition and Rules, Cambridge University Press 2019/5/30. 世界の電力市場改革のレビュー:  Fereidoon P. Sioshansi, Competitive Electricity Markets: Design, Implementation, Performance, (Elsevier Global Energy Policy and Economics Series), 2008/3/25.
履修上の注意
ミクロ経済学の初歩(上記参考書のレベル),最適化問題の初歩(ラグランジュ乗数,キューンタッカー条件等),確率統計の初歩(期待値,標準偏差,確率分布,正規分布等)の知識を前提とする.電気工学の知識は前提としない.