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最終更新日:2024年4月22日

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交渉と合意

★★履修希望者が定員を超過する場合、抽選を行います★★
★★抽選で受講を許可された者のみ受講できます★★
★★許可されていない者の受講はいかなる事情であっても認めませんのでご注意ください★★

【履修希望者は4/10(水)正午までに下記URLのフォームで登録すること】
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【定員を超えた場合は履修許可者を抽選で決定する(詳細はフォームに記載)】

「交渉」というと何か身構えてしまう人も多いでしょうが、実際のところ誰もが毎日交渉を行っています。たとえば家庭内での会話(例えば「今夜のご飯は何にしようか?」)なども一種の交渉です。また同時に、国家間で条約を締結する際にも交渉は行われています。これら多様な「交渉」を幅広くとらえ、それらの共通点から見出された基本的な枠組みが「交渉学」です。幅広い分野の現場で適用可能であるため、現在では全米各地の専門職大学院(公共政策大学院、法科大学院、ビジネススクール、都市計画大学院など)で教えられています。

「交渉」のスキルは生まれもってのものであって、勉強や練習をしても改善は難しいと思い込んでいる人が多いと思われますが、実際はそうではありません。「交渉学」の枠組みを用いて反省することで、交渉に係る問題の正しい理解が可能となり、「交渉学」を念頭に実際の交渉を進めれば、適切な問題改善へとつなげることができます。また、「交渉」の最終目標は相手を打ち負かすことではありません。むしろ、自分と交渉相手が今後共存できる方法をお互い納得できる形で見つけることが交渉の目標です。ですから、今回の講義で扱う「交渉学」のことを「Win-Win交渉」などと呼ぶ人もいます。また、今回の講義は公共政策における交渉と合意に焦点を当てます。個人間、企業間で行われる交渉と比べ、公共政策に関する交渉と合意形成は、その特性が大きく異なります。特に、ステークホルダーの特定、配分の公正性に対する要請、価値観に根ざした論争と熟議による対応、科学的不確実性への対応などについてこの講義を通じて十分理解を深めていただきたいと思います。なお、講義では環境政策や都市計画を中心とした事例を用いて議論を進めます。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5130020-1
GPP-MP6Z30L1
交渉と合意
松浦 正浩
S1 S2
火曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
イントロダクション(講義概要の説明) (4/9) 第1部 交渉分析の基礎と応用(交渉学) 第1回 基礎理論と配分型交渉 (4/16) 交渉の戦略立案と分析(反省)に欠かすことのできない交渉の基礎理論を解説する。具体的には、立場と利害、BATNA、ZOPA等の概念を導入する。 第2回 交渉シミュレーション「桜井さんvs.小池さん」★ (4/23) 2者間1イシューの演習を通じ、最初の価格提示(アンカリング)、配分型交渉の課題などについて、体験的に理解する。 第3回 統合型交渉(ミニ演習) (4/30) パレート最適を目指す統合型交渉の理論を解説するとともに、シンプルな交渉演習を通じてその理論を感覚的に理解する。 第4回 交渉シミュレーション「水無月開発」★ (5/7) 2者間複数イシューの演習(得点制)を行い、統合型交渉によるパレート改善の原理とその実践の難しさを理解する。 第5回 交渉シミュレーション「サリー・ソプラノ」★ (5/14) 2者間複数イシューの演習(非得点制)を行い、取引材料を増やすことによるパレート改善の可能性について理解する。 第2部 公共政策形成過程における交渉と合意形成 第6回 公共政策における交渉と合意形成の理論と実践 (5/21) 政策形成を合意形成の機会ととらえることで、技術官僚型、参加型、協働型(交渉による合意)、熟議型の4類型を理解する。また、協働型政策形成(マルチステークホルダー交渉)の実践の方法論を理解する。 第7回 ファシリテーション手法 (5/28) 合意形成の現場で必要とされるファシリテーションの関連技法(主にラベルワーク)について、体験的にスキルを身につける。 第8回 交渉シミュレーション「ハーボコ」★ (6/4) 港湾整備に関する6者間の交渉シミュレーションを行い、公共政策における交渉の特徴について理解を深める。 第9回 「ハーボコ」のふりかえり、中間テスト (6/11) ハーボコで各自が得た体験を全員でふりかえり、公共政策形成過程で行われる交渉の特徴を整理する。また文献等をもとに、外交問題、環境政策、まちづくりに関する公共的な交渉の特徴について理解を深める。また、これまでの理解を確認するためにマークシート形式の中間テストを行う。 第10回 交渉シミュレーション(科学技術に関連する交渉)★ (6/18) 科学的不確実性の高い状況下でファシリテーターが参加する公共政策に関する交渉のシミュレーションを体験し、その課題について多様な立場に基づく視点から、体験的に理解を深める。 第11回 価値観に基づく公共紛争とその解決 (6/25) 交渉による利害の取引だけでは解決が難しい価値観(value)に基づく公共紛争の存在について理解し、その解決や議論の方法について、実際のケースをもとに学生中心にディスカッションする。熟議(deliberation)の実践についても検討する。 第3部 まとめ (7/2) 最後に、「交渉と合意」で学んだことがらについて全員でふりかえる。
授業の方法
本講義はスキルの体得に主眼を当て、米国の専門職大学院で長年行われている「交渉学」の授業とほぼ同じ形式で進行します。交渉スキルは自動車の運転と同じく、学習と実践を繰り返すことで始めて体得できるものです。講義では複数の交渉シミュレーション演習を用い、学習した「交渉学」の理論や方法論を実際に自分自身で試していただきます。また、現場への適用を常に念頭に置きながら講義に参加していただくため、ディスカッションへの参加を重視します。本講義は聴講の場ではなく、むしろ講師を含めた「学びあいの場」だと考えて参加してください。
成績評価方法
平常点(出席等)30%、交渉シミュレーションのふりかえりレポート(計3回)計30%、中間テスト20%、最終レポート20%
教科書
松浦正浩.おとしどころの見つけ方、クロスメディア、2018. フィッシャー&ユーリー.ハーバード流交渉術、三笠書房、1990.
参考書
サスカインド&クルックシャンク.コンセンサスビルディング入門、有斐閣、2008. 松浦正浩.実践!交渉学:いかに合意形成を図るか、ちくま新書、2010.
履修上の注意
出席について:初回を除く2回以上の無断欠席は単位取得の意思がないものと判断する。 交渉シミュレーションの事前準備:設定に関する資料を事前に送付するので、授業時間までに必ず通読して、シミュレーションする状況を理解しておくこと(※準備を怠る学生に対しては、本講義への出席停止等の厳しい措置をとる)。 言語について:受講者は、交渉演習を日本語で行うため、日本語によるネイティブレベルの会話および文法等の誤りのない日本語によるレポート執筆の能力を有する必要がある。