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最終更新日:2025年4月21日

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食糧安全保障と農業政策

食料安全保障や農業については、誤った知識や情報が多い。世界の食料問題について、人口増加により食料危機が起きるとか、アメリカが食料を戦略物資として使うなどが、大学教授や専門家と言われる人たちによって主張され、多くの人が信じている。また、農業は1960年以降大きく変化したのに、多くの国民が持っているイメージや知識は古い農業のままである。 問題は、これらを利用して農業界の特定の利益に沿った政策が作られ、国民や消費者の利益を大きく損なっていることである。 この講義では、食料や農業について正しいファクツを解説する。そのうえで、どうして国民経済的に正しい政策が実現しなかったのかという政治過程を議論したうえで、どのような政策が食料安全保障や多面的機能に資するのかを分析・検討する。
どのような分野の政策でも、ファクツやエヴィデンスを踏まえて、これをロジック・セオリーで構築することによって、企画・立案する(考える)ことが必要である。しかし、日本の食料・農業政策は、誤った事実認識や観念に基づき、また経済的な理論による裏付けもなく、企画・立案されてきた。特に、高度成長期以来、農業と政治との関係が深まるにつれて、このような傾向が高まり、その結果、農政自体が、農業の後退、食料自給率の低下を招いた。
この講義では、日本の食料・農業政策を批判的に検討しながら、それを通じて、政策の企画・立案に真に必要となる“考える力”を養うことを目的とする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5123046
GPP-MP6E20L1
食糧安全保障と農業政策
山下 一仁
S1 S2
水曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
第1回 オリエンテーション~「あなたの知識は間違いです」 第2回・第3回 「世界の食料・農業事情と政策」 第4回・第5回 「日本のフードシステムを規定する要因とフードシステムの特徴」 第6回 「農産物・食品貿易や農業政策に対する国際規律や交渉」 第7回 「食の安全と貿易」 第8回  「日本の食料・農業政策はどのようにしてできあがったか?」 第9回・第10回 「日本の食料・農業政策の概要と農政が農業に与えた影響」 第11回 「新技術と日本農業の可能性」 第12回 各自が見つけた食料・農業政策上の課題と対策についてのプレゼンテーション「あなたならどう     する?」 第13回 小テスト
授業の方法
講義 講義の後1~2日の間に、講義内容について、疑問、意見、感想、政策提案等を提出してください。提出後ただちにコメントを返します。少なくとも4回の講義についてこれを行ってください。これらを踏まえながら、各自で問題と考える政策課題(講義で触れないものでも可)とそれに対する政策を第12回の授業でプレゼンしてください。授業中の参加を含めて、この授業参画を全体の評価の40%とします。
成績評価方法
期末試験(60%)、授業参画(40%)とする。
教科書
山下一仁『国民のための「食と農」の授業ーファクツとロジックで考えるー』日本経済新聞出版2022年
参考書
山下一仁「国民と消費者重視の農政改革」東洋経済新報社04年     「フードセキュリティ」日本評論社2009年     「農業ビッグバンの経済学」日本経済新聞出版社10年     「日本の農業を破壊したものは誰か~農業立国に舵を切れ」講談社13年     「バターが買えない不都合な真実」幻冬舎16年     「食の安全と貿易」日本評論社08年     「いま蘇る柳田國男の農政改革」新潮選書2018年     「日本が飢える!世界食料危機の真実」幻冬舎新書2022年 石井哲也「ゲノム編集を問う」岩波新書17年 岸康彦 「食と農の戦後史」日本経済新聞出版社96年 佐伯尚美「農業経済学講義」東京大学出版会89年 清水みゆき編著「食料経済(第6版): フードシステムからみた食料問題」オーム社2022年 暉峻衆三編「日本の農業150年」有斐閣03年 21世紀政策研究所編「2025年日本の農業ビジネス」講談社現代新書 農林水産省編「食料・農業・農村白書」 久松達央「農家はもっと減ってよい~農業の常識はウソだらけ」光文社新書2022年
履修上の注意
事前に特別の知識は要りません。むしろ、農業や農業政策についての書物は読まないでください。 最低限必要な経済学の基礎知識は、授業で説明します。 授業への積極的な参加を望みます。疑問があったらまず考えて、質問・討論してください。 昨年の講義資料はキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載しています。