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最終更新日:2026年10月16日

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情報社会と総合安全保障

「情報社会と総合安全保障」/Information Society and Comprehensive Security この講義では、情報社会の総合安全保障を(ⅰ)軍事外交戦略、(ⅱ)歴史的展開かから見た経済安全保障、(ⅲ)政府の危機管理体制、(ⅳ)情報化の社会的影響、(ⅴ)政治経済体制と政治哲学などの側面から検討します。「総合安全保障」の概念が日本の政策形成に登場したのは、1980年の『総合安全保障研究グループ報告書』でした。これは大平首相の設置した研究グループが政府に提出したものです。その後、1992年のカンボジアPKO、2016年の平和安全法制、2022年の経済安全保障推進法などのように日本の総合安全保障政策は継続的に拡大深化しています。行政の実務や政治学・法学の研究を志す皆さんにとって、情報社会の総合安全保障は重要なテーマです。この講義の目標は、このテーマを具体的な日本の政策と結び付けて理解することです。
(1)この講義は、(ⅰ)鈴木寛公共政策大学院教授(主担当:元通商産業省、元文部科学副大臣・前文部科学大臣補佐官)、(ⅱ)山内康英(分担教員:ZEN大学教授/多摩大学情報社会学研究所所長代理)が分担して担当します。本学シニア・リサーチ・フェローの高見澤將林先生(元防衛省防衛政策局長、元官房副長官補(事態対処・危機管理担当),元軍縮大使、前東京大学公共政策大学院客員教授)にもゲストスピーカーとして数回ご登壇いただく予定です。政治と行政の実務経験者および研究者の視点を通して日本の安全保障の現状と課題を学んで下さい。なお、この講義は時間と分量の関係から教員による講義形式とします。
(2)本講義の受講生は、各回の講義のテーマから関心のある課題を選び、PBL(Project Based Learning)による調査研究を行うものとします。PBLでは、各自の修論や研究室のテーマを勘案しながら、文献やオンライン資料を利用して調査研究し、期末にレポートを作成するものとします。課題の取り組み方や文献については、講義の時間中に、またITC‐LMSの掲示板を使って受講生ごとに講師が説明、指導します。本講義の各回のトピックスは講義計画の通りですが、受講者の皆さんの希望や講師の都合を勘案して組み替えます。授業中の質疑にオンラインの検索を使いますので、ネットに繋がるノートパソコンを教室に持ってきて下さい。
(4)授業計画の概要と分担は以下の通りです。
Ⅰ. 総合安全保障の分析フレームワークと情報化の技術的背景
第1回 情報社会と総合安全保障の分析フレームワーク/
第2回 サイバーセキュリティと情報化の技術的な背景/
Ⅱ. 日本の安全保障政策の歴史的展開
第3回 戦後の日本の安全保障政策とその展開(1945~1980)/
第4回 新たな国家安全保障戦略と防衛3文書(1980~2024)/
第5回 組織論と政軍関係から見た政府の意思決定/
第6回 東西冷戦と核抑止理論/
第7回 70年代の石油危機および日米経済摩擦がもたらした日本の「総合安全保障 1.0」/
第8回 軍備管理軍縮と不拡散レジームによる国際社会の秩序形成:現状と課題/
Ⅲ. 日本の安全保障に関する各論および総論
第9回 90年代の総合安全保障:カンボジアPKO/
第10回 情報社会と安全保障政策の展開:「総合安全保障 3.0」と分野横断型統合/
第11回 監視資本主義、巨大プラットフォーム、ハイブリッド戦争/
第12回 総合安全保障の政治体制および政治哲学的検討/
第13回 3.11のリスク管理と有事の政治決定/
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5122222
GPP-MP6P20L1
情報社会と総合安全保障
鈴木 寛
S1 S2
火曜1限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
【第1回】情報社会と総合安全保障の分析フレームワーク 第1回の講義では、情報社会と総合安全保障について本講義で用いる基本的な分析枠組みを説明します。1980年の大平首相の『総合安全保障研究グループ報告書』の分析フレームワーク、自衛権に関する憲法解釈や集団的自衛の位置付けなど安全保障に関する基本的な概念を整理します。 【参考文献】「大平総理の政策研究会報告書−5 総合安全保障戦略」『総合安全保障研究グループ報告書』昭和55年7月2日。https://worldjpn.net/***** 【第2回】サイバーセキュリティと情報化の技術的な背景 この回では、インターネットの技術的な根幹をなすTCP/IPとドメイン管理について説明します。インターネットはAS=自律システム (autonomous system)の相互接続によって成立するグローバルな情報インフラです。 【参考文献】①竹下恵『パケットキャプチャ入門:LANアナライザWireshark活用術』 リックテレコム、2014年。②村井純『日本でインターネットはどのように創られたのか? WIDEプロジェクト20年の挑戦の記録』インプレスR&D、2009年。 【第3回】戦後の日本の安全保障政策とその展開(1945~1980) この回は、サンフランシスコ講和条約から日米安全保障条約の改正、70年代のデタントから1976年の「防衛計画の大綱」までを説明します。 【参考文献】①防衛省『防衛白書』 http://www.clearing.mod.go.jp/***** 【第4回】新たな国家安全保障戦略と防衛3文書(1980~2024) 第3回の説明を踏まえつつ「戦略3文書」つまり「新国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」について説明します。90年代までの趨勢であった経済的相互依存による国際関係の安定化という構造が崩れるとともに、サイバー空間や宇宙をめぐる戦略競争が激化するなかで策定された新たな国家安全保障戦略の意義と今後の課題を中心に検討します。 【参考文献等】①「国家安全保障戦略について」内閣官房ホームページ (cas.go.jp) ②「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」内閣官房ホームページ (cas.go.jp) 【第5回】組織論と政軍関係から見た政府の意思決定 組織の意思決定理論は、企業にも安全保障を担う政府機関にも適用できる分析フレームワークを提供しています。第5回は1962年の「キューバ危機」を事例として取り上げます。ソ連による中距離核ミサイルの配備を契機として起こったこの事件では、米・ソが核戦争の一歩手前にまで近づきました。 【参考文献】①ドン・マントン、デイヴィッド・A・ウェルチ『キューバ危機―ミラー・イメージングの罠』田所昌幸、林晟一訳、中央公論新社、2015年。 【第6回】東西冷戦と核抑止理論 第6回の授業では、70年代のデタント終結後の東西冷戦の後半について説明します。東西冷戦とは、資本主義と社会主義という二つのイデオロギーの対立でした。東西のブロック間の対立が直接の軍事衝突に至らなかったのは、グローバルな核抑止体制が機能していたからでした。 【参考文献】①ロバート・マクマン『冷戦史』青野利彦監訳、平井和也訳、勁草書房、2018年。 【第7回】70年代の石油危機および日米経済摩擦がもたらした日本の「総合安全保障 1.0」 第8回の授業では、1973年の石油危機および日本と米国の経済摩擦と沖縄返還交渉を取り上げます。日本はこの時期、石油危機と経済摩擦を背景に、経済・エネルギー・軍事を統合した「総合安全保障」という政策的な概念を提起しました。エネルギー資源の「武器化」や国際経済秩序の変動は、現代の安全保障にも深く関わっています。 【参考文献】①橋爪吉博『新しい石油の地政学』秀和システム、2024年。 【第8回】軍備管理軍縮と不拡散レジームによる国際社会の秩序形成:現状と課題 「軍縮(arms reduction)」とは、国際的な合意の下で兵器の削減を行い、さらにはそれを廃絶することも意味します。新しい国際戦略環境のもとで、東西冷戦期に構築された軍備管理軍縮および不拡散体制にどのような変化が生じているのか、また通常兵器を含めた軍縮アジェンダについて検討します。 【参考文献等】①国連事務総長軍縮アジェンダ 2018年 Disarmament Agenda (un.org)、②森本敏、高橋杉雄編著『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛―INF条約後の安全保障』並木書房、2020年。 【第9回】90年代の総合安全保障:カンボジアPKO 第7回は、東西冷戦終結後の国連平和維持活動(PKO)の展開と、日本の安全保障政策の変化をテーマとします。東西冷戦の終結は、地域紛争や民族対立の顕在化を引き起こし、国連の平和維持活動(PKO)の必要性が高まりました。 【参考文献】①上杉勇司、青井千由紀編『国家建設における民軍関係―破綻国家再建の理論と実践をつなぐ』 国際書院、2008年。 【第10回】情報社会と安全保障政策の展開:「総合安全保障 3.0」と分野横断型統合 新国家安全保障戦略においては、防衛力と不可分一体のものとして、研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、抑止力の向上等のための国際協力の四つの分野に加え、地方公共団体を含む政府内外の組織との連携の重要性が謳われています。 【参考文献】①兼原信克、佐々木豊成、曽我豪、高見澤將林『官邸官僚が本音で語る権力の使い方』2023年、新潮新書 ②「我が国のサイバー安全保障の確保」事業 政策提言 "外国からのディスインフォメーションに備えを!~サイバー空間の情報操作の脅威~" | 安全保障研究グループ-報告資料・出版物 | 笹川平和財団 THE SASAKAWA PEACE FOUNDATION (spf.org) 2022年 【第11回】監視資本主義、巨大プラットフォーム、ハイブリッド戦争 第11回の講義では、パンデミックに対する日本の対応や、SNSやO2Oビジネスがなぜ情報恐慌を作り出すのか、というメカニズムやアルゴリズム規制の必然性について検討します。経営学者であるズボフの「監視資本主義論」の背景にあるのはチャンドラーに対する批判的再検討です。現在の巨大プラットフォーマーはユーザーの行動履歴から独占的利潤を上げている、という訳です。この議論の背景には、市場経済と政府の調整介入という根深いテーマがあります。 【参考文献】①ショシャナ・ズボフ『監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い』野中香方子訳、東洋経済新報社、2021年。 【第12回】総合安全保障の政治体制および政治哲学的検討 日本の政治過程は、組織的多元主義と代表制民主主義を構成原理としています。第12回の講義では、多元的で民主義的な政治の運営を根拠づける政治哲学について検討します。 【参考文献】①鈴木寛「多元的な民主主義と政治哲学の諸課題」重松博之監修『ワイズガバメント―日本の政治過程と行財政システム』中央経済グループパブリッシング、2021年。②村松幹夫『政官スクラム型リーダシップの崩壊』東洋経済新報社、2011年。 【第13回】3.11のリスク管理と有事の政治決定 東日本大震災にともなう福島第1原発事故は、日本政府の危機管理能力を含む問題が露わになったケースでした。第12回までの授業で取り挙げた事案も視野に入れつつ、組織の変遷や実際の現場における政治決定をたどりながら問題の構造を検討します。 【参考文献等】①事態対処・危機管理組織「内閣官房副長官補」内閣官房ホームページ (cas.go.jp)、②NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」 検証編』 講談社文庫、 2024年。
授業の方法
①この講義では、ゼミ論や修論作成の役に立つように期末レポートの作成を指導します。成績の必要な方は必ず期末レポートを提出してください。この講義は時間と分量の関係から教員による講義形式とします。 ②毎回の講義の資料は、全学授業支援システムを使って毎回受講者に配布し、レポートの作成を指導します。成績は、①授業の貢献度、②期末レポートによって総合的に評価します。 ③受講生はスマホだけでなく、パソコンを用いたファイルのアップロードやダウンロード、Word、PowerPoint、Excelの基本的な利用についても習熟を求めます。
成績評価方法
6. 成績評価方法/Grade Evaluation ①期末レポート、②授業の貢献度によって総合的に評価します。
履修上の注意
①この講義では、ゼミ論や修論作成の役に立つように期末レポートの作成を指導します。成績の必要な方は必ず期末レポートを提出してください。 ②毎回の講義の資料は、全学授業支援システムを使って毎回受講者に配布し、レポートの作成を指導します。成績は、①授業の貢献度、②期末レポートによって総合的に評価します。