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最終更新日:2024年4月22日

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財政と金融の法

財政と金融の法
本講義では、現代の財政が直面する諸課題を、法学の観点から検討します。その際、財政と金融(さらには貨幣)の密接な関係に特に注意が払われます。財政と金融の強い結びつきは古くから認識され、例えば「財政」に対応する西欧語(public finance, finances publiques, Finanzen)にその痕跡をみることができますが、現代の管理通貨制とグローバル経済の下で、両者の関係はさらに複雑な様相を示しています。例えば、金融危機やパンデミックへの対応として、中央銀行が大規模な金融緩和政策を継続し、巨額の国債を保有するに至った状況をわれわれはどう理解すべきでしょうか。あるいは「通貨発行権を有する主権国家は、自らそれを望まない限り自国通貨建ての国債の債務不履行に陥ることはない」という言明は、資本移動がグローバル化したといわれる時代において、何を意味するのでしょうか。こうした財政と金融の複合的な問題については、マクロ経済学・ファイナンス理論・政治学・社会学など様々な学問分野からの考察が試みられていますが、国家と経済社会の基本構造に関わる問題である以上、法学もその一翼を担う必要があります。本講義は、そのような新たな課題に取り組む財政法学の現時点での到達点と課題をわかりやすく示し、受講者が現代財政の諸課題を法学的観点からも論じられる能力を獲得できることを目的とします。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5121306
財政と金融の法
藤谷 武史
S1 S2
金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
第1回(4月9日) 導入 本講義の構想と意義   ― おカネ(金銭・貨幣)を中心に社会を構築することの法学的意味 第2回(4月16日) 租税国家原則 第3回(4月23日) 公債の法制度・序説 第4回(4月30日) 公債と財政規律 世代間衡平の問題の捉え方 第5回(5月7日) 危機(特にCovid-19を中心に)と財政 第6回(5月14日) 財政法における中央銀行の位置 第7回(5月21日) 通貨と法① 銀行システムと貨幣・通貨 第8回(5月28日) 通貨と法② 国際通貨と法 第9回(6月4日) 金融セクターと財政の「距離」 第10回(6月11日) 貨幣による統治としての財政 国庫の金融的ポジション 第11回(6月18日) 財政的資金フローと実物経済の関係 第12回(6月25日) 新たな財政・金融のConstitutionの模索 第13回(7月2日) 講義のまとめ
授業の方法
事前にレジュメ・資料を配付した上で、Zoomによる講義を中心としつつ、適宜、ブレークアウトセッション機能を利用した受講生同士のディスカッションの機会を織り交ぜて行う方式をとる。
成績評価方法
定期試験による。
教科書
特に指定しない(レジュメ・資料をITC/LMSで配布します)。
参考書
特に指定しない。
履修上の注意
後期に開講される「財政法」と内容的に重なる部分があるが、後期の「財政法」が日本の実定財政法制度の全体像を提示するものであるのに対して、本講義は「財政と金融の相互関係」に焦点を絞って検討を加えるものであり、力点の置き方がかなり異なる(例えば、「財政法」で扱われる主要単元のうち、補助金、公共契約について本講義では扱われず、財政収入の法、予算制度については簡潔な概要のみが示される)。このため、両方を履修することも可能であるし、関心に即してどちらか一方のみを履修するのでも差し支えない。