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最終更新日:2025年4月21日

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公共管理論I

公共管理論Ⅰ(国家公務員制度)
 本講義は、国家公務員制度の歴史的展開(明治、戦後、平成期)と現状を整理した上で、国家公務員の政策立案能力の向上や公正・効率的・効果的な行政執行に向けた今後の課題と対応方策について考察していくことを目的とします。
 
 国の行政を担う国家公務員のあり方については、
①「統治構造」:政策立案・決定に関する「官僚」の役割は政治との関係でどうあるべきか、
②「行政管理」:公正、効率的、効果的な行政執行を担うべき「行政官」に対する規律はどうあるべきか、
③「人的資源管理」:民間企業の「勤労者」同様、優秀な人材の誘引、意欲・能力・成果向上のためのマネジメント、処遇はどうあるべきか
など、重要とする「価値」や「公務員観」を異にする視点が併存していることから、時に「改革論議」が錯綜、混乱してきました。(関連する学問分野も政治学、行政学、行政法学、経営学等々多岐にわたります。)
 また、「改革」の対象として、目に見えやすい国家公務員法等の「法改正」が注目されがちですが、実際には、
①「制度に基づかない慣行」「制度と運用の乖離」の存在:政官関係、キャリアシステム、年功制など
②「業務・人事のマネジメント」の質:現場での個々の幹部・管理職による日々のマネジメント
③「政策立案・実施スタイルの改革」:EBPM、デジタル行財政改革など
も国家公務員の活動に大きな影響を与えるため、「公務員法制」を超えた実状の把握、検討が不可欠です。
 
 以上を踏まえ、本講義では、①国家公務員制度の歴史的展開を概観した上で、②平成期における一連の統治構造改革を受けた国家公務員制度改正(人事評価制度、再就職斡旋禁止、幹部人事一元管理の導入など)、③国家公務員志望者減を踏まえた採用試験改革、働き方改革など現在進行中の取組について理解することを軸に置きつつも、より広く、国家公務員をめぐる各種制度の運用実態や、非制度的な慣行、関係する行政の改革についても目配りしながら、今後の課題やその解決方策について議論をしていきたいと考えます。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
5112060
GPP-MP5P10L1
公共管理論I
金井 利之
A1 A2
火曜6限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
公共政策学教育部
授業計画
※今後変更ありえます。サブタイトルは内容・論点の例です。 1 「イントロダクション」 「国家公務員」に関する基礎的制度・データ、講義の流れ 2 「歴史1(明治から昭和)」 戦前と戦後 連続と断絶 3 「歴史2(平成期の改革)」 グローバル化の下での統治構造改革と公務員制度改革 4 「イントロダクション2」    国家公務員法概観、公務員人事管理に関する言説(「遅い昇進システム」「最大動員システム」など)と日本型雇用システム 国際比較の意義と限界(諸外国の公務員制度、NPM・NWS・NPG) 5 「政官関係」 「官僚論」の系譜と現在(「吏員型官僚」の評価) 6「政策立案・実施スタイルの改革」 EBPM・デジタル行財政改革と新たな公務員像 7「人材の確保と育成」 開放的人材確保とキャリアシステム・グループ別人事管理 8 「昇進・給与」  人事評価の可能性と限界 能力・実績主義と日本型雇用システム 9 「幹部職員・管理職員」 一般職員と何が違う(べき)か 政治的応答性と専門性 10 「男女共同参画、働き方改革」 「最大動員システム」の修正 Good Employerとしての政府 11「定年延長、再就職」 シニア職員の新たな役割 12「管理の体制・手法」 集権と分権 労働基本権 「改革」を可能とするもの 13 課題整理
授業の方法
講義+ディスカッション
成績評価方法
レポート50%、授業への参加状況50%
教科書
指定しません
参考書
【全般】西尾隆「行政学叢書11 公務員制」東京大学出版会2018 【現行制度の解説】稲山文男「国家公務員人事制度概説」弘文堂2024 【進行中の取組、各種データ】人事院HP(人事院年次報告書等)、内閣人事局HP そのほか、初回講義等で適宜紹介します。
履修上の注意
政治学、行政学、行政法についての基礎的な知識があることが望ましいですが、イントロダクションとして国家公務員に関する基礎的な仕組み・データの説明を行うほか、各回においても専門技術的な細部にはなるべく立ち入らずに制度・仕組みの趣旨と実態を解説した上でディスカッションを行うことを重視します。