学部前期課程
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最終更新日:2025年4月21日

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翻訳論

翻訳とは何か──『ガリヴァー旅行記』を読みながら
翻訳の授業と聞いて、どのような内容を思い浮かべるだろうか。課題となる作品や論文を実際に訳し、訳文の是非を検討する、というのが一般的なイメージかもしれない。この授業では、こうした実践的な内容も取り入れながら、同時に「翻訳とは何か」という根本的な問題も考えたい。
翻訳論の歴史は古いが、近年、国民文学から世界文学へと研究の重心が移りゆくのに伴い、翻訳研究への関心も大いに高まっている。ある文学作品や哲学書を、異なる言語に翻訳することで失われてしまうものはないか。逆に、新たに開かれる可能性はないか。また、同じ言語での翻訳においても、翻訳者の果たす役割はどのようなものか。翻訳と創作との境界線はどの程度厳密に引かれるべきなのか。あるいは、そもそも境界線など存在しないのか。
こうした問題を考えながら、改めて翻訳されたテキストを読むと、「正しい翻訳」や「名訳」と呼ばれるものの条件について、新たな知見を得られるはずである。
率直にいって、1学期の授業で翻訳の達人になるのは難しいし、仮に上達しても、将来翻訳家として生活できるかどうかは分からない。しかし、たとえ短い期間でも、翻訳について真面目に考えながら実際に訳してみることで、表面的な「異文化交流」では味わえない、人が言葉を使ってものを考え、他者に伝えるという社会の本質に関わる認識を更新できるはずである。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
50952
CAS-GC1A15L1
翻訳論
武田 将明
A1 A2
金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
基本的に、翻訳に関連する文献の講読と翻訳の実践を1週ごとに交代でおこなう。 翻訳の課題はすべて、Jonathan Swift, "Gulliver's Travels" (1726)から出す。古い作品だが、近年新訳が続々と出たので、過去の翻訳と比較しながら翻訳について考察することができ、本授業の教材として適しているからである。 8 Oct: Introduction. 翻訳と翻訳論 15: Gulliver’s Travelsを訳す(1):課題提出 22: 翻訳論を読む(1) 29: Gulliver’s Travelsを訳す(2):課題提出 5 Nov: 翻訳論を読む(2) 12: Gulliver’s Travelsを訳す(3):課題提出 19: Gulliver’s Travelsの翻訳を比較する [26 No Class] 3 Dec: Gulliver’s Travelsを訳す(4):課題提出 10: Gulliver’s Travels論を読む 17: Gulliver’s Travelsを訳す(5):課題提出 24: 翻訳論を読む(3) 7 Jan: : Gulliver’s Travelsを訳す(6):課題提出 18 Jan: 翻訳とはなにか(議論とまとめ)
授業の方法
講読と翻訳演習。講読と翻訳の課題はすべてITC-LMSで配布するので、自分で購入する必要はない。 課題について、詳しくは初回授業時に説明する。 授業はすべてオンラインで実施する。
成績評価方法
1)翻訳課題6つ 2)講読関係での口頭発表 3)授業参加(出席と発言) 4)最終課題(翻訳に関する考察を2000字程度の日本語でまとめる) 以上4項目から評価する。
履修上の注意
履修を検討している学生は、初回授業に必ず参加すること。参加できない場合は、メールでその旨伝えること。 受講しながらでも構わないので、『ガリヴァー旅行記』を通読して参加すること。特に版は指定しない。授業では、新潮文庫(中野好夫訳)、岩波文庫(平井正穂訳)、角川文庫(山田蘭訳)のほか、『『ガリヴァー旅行記』徹底註釈』(岩波書店、富山太佳夫訳)、英国十八世紀文学叢書(研究社、高山宏訳)、朝日新聞(柴田元幸訳)を参照する予定。 なお、英語の原書を読みたい人には、Oxford World's Classics版(Claude Rawson, Ian Higgins編)を薦める(必要な箇所を資料として配布するので、購入しなくとも受講できる)。
実務経験と授業科目の関連性
実務というべきかは分からないが、文化的な他者との付き合い方について学ぶところはあるだろう。