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最終更新日:2026年10月16日

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世界史論

18世紀末のイエズス会解散以後、近現代の東アジア・東南アジアの諸地域においてカトリック布教を主導したのはパリ外国宣教会である。日本も例外ではなく、幕末維新期に潜伏キリシタンを「発見」し、カトリックの再興に努めた。しかし、日本国内における同会の認知度は、前近代のイエズス会ほどには高くない。

本講義では、パリ外国宣教会の布教活動の実態を解明すべく、同会が布教対象とした東アジア・東南アジアの諸国家・諸地域ごとに比較考察を行う。外来宗教であるキリスト教(カトリック)に対して、国家と地域を超えて見られた「受容」あるいは「弾圧」という事象を通じ、各地域の政治・社会・文化の諸面における構造的特性を明らかにしていく。

本講義の具体的な到達目標は以下の3点である:

1.近現代東・東南アジア史の多元的理解: 各国史の枠組みにとどまらず、宣教会のネットワークという広域的な視座から、近現代アジアの変容を動的に捉え直す視点を修得する。

2.史料批判の基礎力の獲得: 宣教師側の言説(書簡・報告書等)と現地社会側の史料双方を複眼的に読み解き、そこに内包されるバイアスや政治的意図を主体的に批判検証する能力を身につける。

3.比較史的アプローチによる論述力の確立: 単なる歴史的事実の暗記ではなく、異なる地域における「受容と拒絶」のメカニズムを比較分析し、自らの歴史解釈を論理的かつ説得力のある文章で記述・論弁できるようになる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
50279
CAS-GC1B54L1
世界史論
牧野 元紀
A1 A2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
第1回:ガイダンス、パリ外国宣教会の成立① 講義の概要と評価基準を説明後、17世紀フランスにおける宗教情勢と宣教会の設立背景を、当時の書簡史料をもとに読み解きます。 第2回:パリ外国宣教会の成立② 教皇庁との関係やポルトガル・スペインの保護権(パドロアード)との対立を軸に、近代宣教組織の構造的特質を分析します。 第3回:パリ外国宣教会によるキリシタン「発見」の予見 幕末の日本開国前夜、宣教師たちが琉球や長崎周辺で展開した情報収集活動と、彼らが抱いていた「潜伏信徒」への予見について議論します。 第4回:日本キリシタンの「復活」 1865年の大浦天主堂における「信徒発見」の衝撃と、その後の明治政府による弾圧(浦上四番崩れ)、および国際社会の反応を多角的に検証します。 第5回:ベトナム前近代史のなかのキリスト教 アレクサンドル・ド・ロードらイエズス会士の活動から、阮朝による禁教政策に至るまで、ベトナム伝統社会とキリスト教の相克を扱います。 第6回:ベトナム近現代史のなかのキリスト教 フランスの植民地支配(仏領インドシナ)の確立過程において、宣教師が果たした政治的・文化的役割と、現地社会の変容を論じます。 第7回:イエズス会による中国布教 マテオ・リッチらに代表される「適応政策(アコモデーション)」の展開と、のちに展開される「典礼論争」の本質について史料からアプローチします。 第8回:パリ外国宣教会の中国布教 清代後半から近代にかけての中国における宣教活動と、排外主義運動(反キリスト教暴動)やアロー戦争等への連動性を分析します。 第9回:朝鮮における受容と迫害 18世紀後半の「西学」としての自発的受容から、19世紀の丙寅迫害(フランス艦隊の侵攻)に至る、独自の展開と政治史的影響を考察します。 第10回:タイ(シャム)における外交と宣教 アユタヤ王朝期以来の東西交易の結節点としてのタイにおいて、宣教会が果たした外交交渉と王権とのパワーバランスを検証します。 第11回:カンボジアとラオスにおける展開 仏領インドシナの枠組みのなかで、上座部仏教が深く根付いたメコン川流域社会に対してキリスト教が与えた影響を比較検討します。 第12回:ビルマ(ミャンマー)の宗教情勢と宣教 英領ビルマへの移行期における諸民族の動向と、仏教徒マジョリティ・少数民族マイノリティの間で宣教が持った政治的意味を論じます。 第13回:学期末試験(授業内筆記試験)および総括 本講義の理解度を測るため、授業時間内に持ち込み不可(一切の参照不可)の論述式筆記試験を実施します。 ※試験形式: 与えられた大問(史料解釈、歴史的因果関係の比較論述など)に対し、その場で論理的かつ学術的な記述を求める本格的な論述試験です。単なる人名や年号の暗記(一問一答)ではなく、講義全体を通じた「歴史学の視座」が身についているかを厳格に評価します。 ※注意: 授業内試験のため、遅刻、および無断欠席は即座に評価を「不可」とします。 公的な追試対象者(病欠等の証明書がある場合)を除き、個別の救済措置や後日のレポート代替措置は一切行いません。試験終了後、残りの時間で講義全体の総括と振り返りを行います。
授業の方法
本講義は対面形式で行います。教員による一方向的な講義にとどまらず、受講生同士、あるいは教員と受講生の間でのディスカッションや質疑応答を随時織り交ぜて進行します。 能動的参加の義務: 発言を求められた際に「考えていません」「わかりません」で済ませるような消極的な態度は、ディスカッションへの不参加(欠席と同等)とみなします。自ら問いを立て、議論にコミットする姿勢を強く求めます。 生成AIの利用規範: 生成AI(ChatGPT等)の使用については、授業内で提示するルール・指示を厳格に遵守してください。指示に反した不適切な利用(AI生成文のそのままのコピペ、剽窃行為など)が発覚した場合は、事前の警告なしに当該課題を「0点(または不可)」とし、大学の定める厳重処分の対象とします。 受講規律: 学術的対話の場にふさわしくない行為(私語、スマートフォンの私的利用、他教科の内職など)は一切容認しません。これらの行為を看取した場合、成績評価に反映させます。
成績評価方法
期末試験:60% (ただし、期末試験の得点が6割に満たない場合は、他の評価に関わらず一律で「不可」とします。試験は持ち込み不可の論述式を予定しています。) レポート課題:15% (史料批判と論理的構成力を問います。剽窃・生成AIの不正利用には極めて厳しく対処し、発覚時は即「不可」とします。) 授業後のリアクションペーパー:15% (単なる出席確認ではなく、記述内容の学術的質を毎回3段階で厳格に査定します。不十分な記述は0点とします。) 授業への参加と関与の度合い:10% (ディスカッションへの能動的貢献度を評価します。私語や内職など受講態度の悪い者は、この項目を0点とするだけでなく、総点から大幅に減点します。)
履修上の注意
【注意】高校レベルの世界史(世界史探究・歴史総合相当)の基礎的知識は完全に定着しているものとして講義を進めます。通史の網羅的な解説は行わないため、基礎知識に不安がある場合は、各自で事前に補っておいてください。毎回の課題(リアクションペーパーとレポート)および期末評価(論述試験)では、論理的整合性、史料批判の観点、および独自考察の質を厳格に採点します(「単位の救済措施」や個別対応は一切行いません)。 【予習】(約2時間): 事前に指定するリーディング・アサインメント(論文、原典史料の抜粋など、毎回30〜50ページ程度)の精読を必須とします。単に目を通すだけでなく、著者の論旨、史料のバイアス、および疑問点を整理した上で講義に臨んでください。 【復習】(約2時間): 講義で扱った論点について、紹介した参考文献や関連する史料を自ら探索・読解し、理解を深化させてください。また、講義内容を踏まえた小レポート(ショート・エッセイ)の提出を課す回(学期中数回)があります。