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最終更新日:2026年10月16日

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社会正義論

思想としてのパレスチナ
「かくも深く募ってやまない痛みを、あたかも単なる政治的問題のひとつであるかのように、二者間の「紛争」などと、そして双方が「競合する」と称される物語を抱えているなどとよくも言えたものだ。ジェノサイドは物語なのか? 自由を追い求めることは紛争なのか?」——これはパレスチナ系アメリカ人のジャーナリスト、ラムズィ・バールードが2024年5月、76 回目のナクバ記念日にX にツイートした言葉です。反語疑問の形で、「パレスチナ問題」の今日的かつ歴史的な本質を端的に言い表しています。
 2023年10月7日以来、イスラエル占領下のガザ地区で起きている事態は、ジェノサイド条約が定義するジェノサイドにほかなりません。しかし、日本の主流メディアにおける報道は、その破局的事態の規模や内実に見合った質でもなければ量でもありません。問題の歴史的根源を問うことなく、「ナクバ」以来続くパレスチナの民族浄化を維持する「文化的暴力」として機能しています。
 合衆国をはじめ自由や人権や民主主義を掲げる西側諸国においては、紛うことなきジェノサイドと化した民族浄化に見舞われるパレスチナ人に連帯し、イスラエル国家やそのナショナル・イデオロギーであるシオニズムを批判する者たちが「反ユダヤ主義」のレッテルを貼られて弾圧されるという事態となっています。問題を歴史的に文脈化する営為自体が犯罪化され、学知の扼殺、認識の扼殺が進行しています。
 パレスチナにおいて、そしてパレスチナをめぐって行使される歴史的かつ今日的な直接的暴力と構造的暴力、そして文化的暴力に抗う一歩として、パレスチナ問題の本質、歴史的根源と、パレスチナをめぐる問題の諸相を学びます。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
50273
CAS-GC1A39L1
社会正義論
岡 真理
A1 A2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
教養学部(前期課程)
授業計画
授業では、以下のようなテーマについて考えます。 1.ガザの「ホロサイド」――2023年10月7日以来、ガザで何が起きているのか 2.それは「反ユダヤ主義」なのか――禁じられた出来事の「歴史的文脈化」 3.シオニズムとは何か――ヨーロッパの歴史的レプリカとしてのイスラエル 4.エピステミサイド――「ホロコーストとナクバ 競合する二つの物語」というナラティヴ 5.パレスチナの文化的ジェノサイド——パレスチナ人などというものは存在しない 6.「戦争」だけが問題なのか――ヒストリサイド 7.「法外」な存在 8.「壁を叩け」 9.「祖国」とは何か 10.なぜ、ガザなのか――「パレスチナ人」とは何か、「パレスチナ」とな何か
授業の方法
講義
成績評価方法
平常点(適宜、課題を出します)および期末レポート ・正当な理由なき5回以上の欠席は不合格とします。 ・生成AIの回答を流用して作成したレポートは、不正行為と見なします。
履修上の注意
参考文献は多岐にわたります。授業で適宜、指示しますので、可能な限り、フォローしてください。 授業で読むテクストがある場合は、必要に応じて配布します。 パレスチナ関連については、この間、多数の書籍が刊行されています。さしあたって、事前に以下から数冊、読んでおくと、授業理解を大いに助けます。 ・岡真理『ガザとは何か 増補版』だいわ文庫、2026年 ・ 〃 『ガザに地下鉄が走る日』みすず書房、2018年 ・イラン・パペ『イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する』河出新書、2025年 ・ 〃 『パレスチナの民族浄化』法政大学出版局、2017年 ・ラシード・ハーリディ『パレスチナ戦争 入植者植民地主義と抵抗の100年史』法政大学出版局、2023年 ・エドワード・サイード『イスラーム報道(増補版)』みすずライブラリー ・サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』青土社、初版2009年、新装版2024年   〃   『なぜ、ガザなのか』、青土社、2024年 ・鶴見太郎『ユダヤ人の歴史』中公新書、2025年 ・ 〃   『シオニズム イスラエルと現代世界』岩波新書、2025年 ・川上泰徳『ハマスの実像』集英社新書、2024年 ・ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』河出文庫 ・タナハシ・コーツ『なぜ書くのか』慶應義塾大学出版会、2025年 ・スヴェン・リングヴィスト『すべての野蛮人を根絶やしにせよ』青土社、2023年