この授業は担当者がその著書『中動態の世界——意志と責任の考古学』(新潮文庫)で展開した中動態についての議論を出発点として、責任とは何かを改めて考察するものである。
中動態への注目は、意志の概念に対する疑うをもたらす。意志を疑うことは、一見すると、責任の問うことの不可能性を主張することにつながると思われるかもしれない。しかし、実際には逆であって、意志の概念に基づいた責任ほど「無責任」なものはない。私はこれを「堕落した責任」と呼んでいる。
責任論は戦争責任の問題に答えるものでなければならない。特に日本においてはそうである。この授業ではこの課題に真正面から向き合う。
DV被害と加害についての様々な研究が大きな参照点になる。
授業ではまず最初に中動態についての基本的な説明を行う。その後、それをもとに責任について考えていく。
以下の書物をあらかじめ読んでおくと理解をより深めることができるだろう。
-國分功一郎『中動態の世界——意志と責任の考古学』新潮文庫、2025年。
-國分功一郎『天皇への敗北』新潮新書、2026年。
-國分功一郎、熊谷晋一郎『〈責任〉の生成——中動態と当事者研究』新曜社、2020年。
-信田さよ子『家族と国家は共謀する:サバイバルからレジスタンスへ』KADOKAWA〈角川新書〉、2021年。
-信田さよ子『暴力とアディクション』青土社、2024年。