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最終更新日:2026年10月16日

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情報行動論

「新しい情報行動論」を構築する:SNSネイティブ世代と情報社会の変容
情報行動(information behavior)とは、人々が情報をどのように探し、受け取り、選択し、処理し、発信し、共有するかという、一連の行動様式と心理的プロセスの総体を指す。単に「何を読むか・見るか」という媒体選択にとどまらず、情報ニーズの発生、メディアへの接触動機、受容・解釈・記憶・伝達の過程、さらには情報回避や誤情報の拡散といった行動までを含む包括的な概念である。

社会科学における情報行動研究は、心理学的な認知・動機づけのアプローチと、社会学的なメディア環境・文化的文脈のアプローチが交差する学際的領域であり、「人はなぜそのメディアを使うのか」「情報はいかにして社会的に流通するのか」という問いを核に、多領域にまたがる知識体系として発展してきた。

情報行動研究は長らく「4マス(新聞・ラジオ・テレビ・雑誌)+インターネット」という枠組みで蓄積されてきた。橋元良明らが東京大学を拠点に積み上げてきた大規模調査研究はその中核をなす。しかし2000年代以降、SNS・動画共有・メッセージアプリが社会インフラ化し、使わない・使えない方が少数派となった現在、その枠組みは根本的に揺らいでいる。

本講義は、この系譜を踏まえつつ、物心がついた時には身の回りに所与のものとして広義のSNSが存在し慣れ親しんできた「SNSネイティブ世代」(暫定的に概ね2005年前後生まれと定義する)が中心に牽引する「新しい情報行動」、例えば配信文化・2.5次元アイドル・インスタストーリー・位置共有アプリなど「上の世代には理解しにくい」情報行動を切り口に、メディア史・社会調査・論文執筆を有機的に結びつける。教員が一方的に講義をする場ではなく、受講者が調べ・発表し・フィールドに出て・また発表するゼミ演習型の設計とする。

到達目標は
①情報行動論の通史と理論的系譜を自ら調べ、他者に説明できる。
②フィールドワークと博物館資料を調査データとして活用できる。
③論文の構成・投稿・査読プロセスを実践的に経験し、自身の修士・博士論文に接続できる。
②SNSネイティブ世代固有の情報行動を先行研究・量的データ・独自調査を統合して分析できる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
4912080
GII-CS6108L1
情報行動論
開沼 博
S1 S2 A1 A2
集中
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
学際情報学府
授業計画
▼DAY 0(事前) 事前課題:文献・チーム別調査 ・チームA:メディア史班 4マス(新聞・ラジオ・テレビ・雑誌)の成立・変化の流れを調べ、主要文献と内容を年表形式でまとめる。DAY1で10分発表+20分議論。 ・チームB:情報行動論の学説史班 情報行動論の主要議論・理論・書籍を整理し、研究の流れと論点を10分発表資料にまとめる。DAY1で10分発表+20分議論。 ▼DAY 1 発表&問い設定+FW①:メディア史・学説史→博物館 発表①(事前調査) → ミニレクチャー+討議 → FW① → 即日発表②-A 9:00–9:30 発表①-A:メディア史班(10分)+ 全体討議(20分) チームAが4マスの歴史・主要文献を発表。チームBと教員が質問・補足。「マス広告・放送が前提にしていた情報行動観とは何か」を全体で掘り下げる。 9:30–10:30 発表①-B:学説史班(10分)+ 全体討議(20分)+ ラップアップ(30分) チームBが情報行動論の主要議論・理論・書籍を発表。「これまでの研究が前提にしていた受け手像」とSNS時代との断絶を議論。教員が2発表を統合してコメントし、本講義の問いを立てる。 10:30-11:30 ミニレクチャー+討議:「理解できない」情報行動を解剖する+問いの設定 配信文化(人がゲームしたり雑談したりの何が面白い?)、2.5次元アイドル(顔も性別も問われない)、インスタストーリー(24時間で消える前提なのになぜ全力?)、位置共有アプリ(プライバシーダダ漏れを求める?)を素材に、パラソーシャル関係論・プライバシー観の変容をコンパクトに共有(15分)。受講者自身の情報行動も語り合うゼミ討議(45分)。 11:30–13:00 移動・昼食 13:00–14:30 NHK放送博物館(愛宕山) (午前9時30分 ~ 午後4時30分 月休み) 15:30-17:00 アドミュージアム東京(汐留)(火ー土 12:00 - 18:00) 午前の発表・討議で生まれた「問い」を携えてFWへ。「4マス時代の情報行動の前提」を展示から読み解く。 ▼中間課題 中間課題:「博物館で見えたこと/問いへの答え/新たな問い」+「新しい情報行動」調査 文献・インタビュー 各自がそれぞれで課題にたいしてレポート&スライド作成し共有。DAY2・3に向けた問いを全体で確認する。 「新しい情報行動」についてはその事例や背景を調べる(こちらであげた配信・2.5次元アイドル・インスタストーリー・位置共有など以外に新規のもの) ▼DAY 2 FW②+「新しい情報行動」との統合・発表:博物館→プレゼン 10:00-11:30 FW ニュースパーク(日本新聞博物館・横浜)(10-17時 月休み) 11:30-14:00 移動・昼食 14:00-15:30 印刷博物館(文京区) 16:30- 発表:「理解できない情報行動とこれからのメディア」(各5分) 各自が、これまでの調査と2日間のFWを経て、「4マス時代に自明だった情報行動の前提」と「SNSネイティブの情報行動」の断絶・連続を各自が言語化。最終レポートの問い・構成を教員とともに議論する。 ▼DAY 3 論文作成演習+草稿発表 相互査読・総括 生成AIを活用し、教員の未公刊調査(中高生SNS調査)を素材に、先行研究の配置・研究設問の設定を演習形式で体験。「発表の問い」を論文的な問いに変換。そこから論文の形式に落とし込む実習。受講者同士が互いの問いにコメントしあう。 課題文献 橋元良明(編)『日本人の情報行動』東京大学出版会 橋元良明(編)『メディアと日本人』岩波新書 土橋臣吾・南田勝也・辻泉(編)『デジタルメディアの社会学』北樹出版 吉見俊哉『メディア文化論(改訂版)』有斐閣アルマ
授業の方法
参加者と日程調整の上、集中講義として対面で実施する
成績評価方法
発表・議論への参加 100%
履修上の注意
課題文献を全て把握する