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数理情報学特別講義Ⅳ

確率的生命現象の数理:ダイナミクス・情報処理・進化
システム生物学や神経科学に代表されるように、複雑な生命システムの動態を解析・理解するために数理が果たす重要性は、近年大きく高まっている。
 本授業では、細胞を単位とした生体システムを扱う数理的な手法や関連するトピックを概説する。
 特に細胞の確率的な挙動を扱うための数理的手法に重点をおき、様々な内因的・外因的ノイズを抱える細胞システムにおける非線形ダイナミクスと情報処理、そして細胞集団による進化の問題を取り扱う方法論を示す。
数理的な側面としては、力学系、分岐、点過程、拡散過程、Master方程式、Fokker-Planck方程式、確率微分方程式、経路積分、非平衡統計物理、情報理論、情報幾何などを基本とした細胞内の確率的動態の理論が含まれる。
理論を応用する生物学的現象としては、遺伝子発現ゆらぎ、選択的な細胞応答、細胞の運命決定、発生と位置情報処理、細胞走性と空間方向感知、確率環境下での増殖・進化、などを取り上げる予定である。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
4820-1029
GIF-MA6605L1
数理情報学特別講義Ⅳ
小林 徹也
S1 S2
火曜5限
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教室
工6号館 3階・セミナー室B
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
情報理工学系研究科
授業計画
1.ガイダンス:Introduction:確率的な細胞現象とその数理(4月10日) 2.点過程とMaster方程式:確率的化学反応の時間発展の時系列的・分布的・経路的理解 3.Cumulant展開:遺伝子発現ネットワークとゆらぎ・フィードバックの流れ 4.化学フォッカープランク方程式とランジュバン方程式・経路積分:ノイズ励起現象と細胞の多安定性 5.確率的な生体内システムの情報理論的理解:選択的な細胞応答 6.情報復号と細胞の運命決定 :Filtering Theoryと確率的情報処理 7.非平衡現象と非線形確率反応:ゆらぎ定理と非平衡生体機能 8.確率的表現形選択と情報の価値:増殖系の経路積分表現と情報処理としての進化 9.生体情報処理における数理的課題 *:進み具合によっては一部省略や順序の変更をする場合がある。
授業の方法
講義による
成績評価方法
出席および課題レポート。ただし、レポート提出は必須。詳細についてはガイダンス時に伝える。
教科書
教科書は指定しない。
参考書
以下の書籍や記事が参考になる:  ・"生命システムを定量する!", 実験医学 2013年5月号, 羊土社  ・システム生物学入門 -生物回路の設計原理、Uri Alon (著), 倉田 博之 (翻訳), 宮野 悟 (翻訳) 、共立出版.  ・生命科学の新しい潮流 理論生物学、望月 敦史 (編集) 、共立出版.  ・ウェットウェア: 単細胞は生きたコンピューターである、デニス・ブレイ (著), 熊谷 玲美 (翻訳), 田沢 恭子 (翻訳), 寺町 朋子 (翻訳) 、早川書房  ・"Physical Biology of the Cell", Rob Phillips(他), Garland Science.  ・Stochastic Methods: A Handbook for the Natural and Social Sciences, Crispin Gardiner (著), Springer.  ・Stochastic Processes in Physics and Chemistry, Third Edition, N.G. Van Kampen (著), North Holland.  ・Elements of Information Theory, Thomas M. Cover (著), Joy A. Thomas (著), Wiley-Interscience.  ・情報理論の基礎―情報と学習の直観的理解のために, 村田 昇 (著), サイエンス社.  ・Biophysics: Searching for Principles, William Bialek (著)  ・Thermodynamics of Information Processing in Small Systems, Takahiro Sagawa (著)
履修上の注意
各問題についての具体的な生物学的な知識は仮定しないが、DNAやタンパク質、セントラルドグマ、化学反応などの基本的事項は理解していることが望ましい。 他のシステム生物学関連の講義と比較し、本講義は数理的な側面、特に確率的なモデリングにより重点を置く。 微積分、線形代数、微分方程式、変分法、確率/統計など基礎については既習であることを前提とする。 必須ではないが、より生物的な側面に重点をおき、決定論的なモデリングに限定した、理論生物学(S1:火4:0560540)も合わせて受講することを勧める。