細胞の増殖や分化、生体ホメオスタシス、発生、神経活動などのさまざまな生命現象の特徴を、個々の分子や遺伝子が集まって機能する分子ネットワークの「システム」の振る舞いとして理解する。簡単な分子ネットワークの組み合わせでできる微分回路や積分回路、振動子、メモリ、スイッチ応答などの振る舞いを、具体的な生命現象に照らし合わせながら講義する。さらに、最近急速に発展しつつある多階層オミクスを統合したデータドリブンのシステム生物学についても紹介する。
6月4日【1】生化学反応系のシステム生物学;フィードフォワード(1)。微分積分回路と細胞運命決定
6月11日【2】生化学反応系のシステム生物学;フィードフォワード(2)。インスリンの時間パターンによる生体ホメオスタシスの制御、AKT 低周波フィルタと細胞成長制御
6月18日【3】生化学反応系のシステム生物学;ネガティブフィードバック。振動、共振周波数、固有値と解の振る舞い。
6月25日【4】生化学反応系のシステム生物学;ポジティブフィードバック。ヘモグロビンの高次反応と協同性、ポジティブフィードバックによるスイッチ応答。
7月2日【5】生化学反応系のシステム生物学;ポジティブ+ネガティブフィードバック。神経細胞の活動電位。確率共鳴、分子数の少数性によるゆらぎを利用したロバストな情報コード。
7月9日【6】シャノンの情報理論によるシグナル伝達経路の解析。
7月16日【7】 代謝フラックス解析。多階層オミクスを統合したデータドリブンシステム生物学。