Young図形・Young盤は、対称群や一般線型群の表現に関する種々の量を書き表すのに用いられる組合せ論的な構成物である。これに関して、 Lascoux, Schützenbergerをはじめとする人たちによって、鮮やかな組合せ論が展開されてきたが、その一部については、近年になって表現論とのつながりがより具体的に理解されるようになった。例えば、Littlewood-Richardson則は、一般線型群の表現で言えば既約表現のテンソル積を既約分解したときの重複度を、Littlewood-Richardson盤と呼ばれる、特別な条件をみたすYoung盤の個数として表す規則であるが、これも量子群の結晶基底を用いたKashiwara-Nakashimaの結果によって具体的に理解されるようになった。一方、GreenやKleinにより、Hall多項式の計算に伴って明らかにされたように、離散付値環上の有限長加群とその部分加群との対から、Littlewood- Richardson盤を定める方法がある。これにより、Littlewood-Richardson盤の組合せ論の背後に、こうした部分加群や、その全体がなす多様体の幾何的な現象を考えることができる場合もある。このような、組合せ論と表現論や幾何の接点となるような話題を取り上げて考察したい。