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最終更新日:2025年4月21日

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数理科学特別講義ⅩⅨ

耐量子計算機暗号入門/Introduction to Post-Quantum Cryptography
現在使われている公開鍵暗号の安全性は,素因数分解などの数学問題の困難性に基づいている.しかし,大規模な量子計算機が実現されれば,それらの安全性が脅かされることが知られており,そのような安全性危殆化を防ぐために,新たな公開鍵暗号技術が開発されている.それらは「 耐量子計算機暗号(PQC:Post-Quantum Cryptography)」 と呼ばれている.PQC では,格子,代数的整数論,多変数多項式,楕円曲線など,主に数論・代数学と関連するさまざまな数学を使って暗号技術が構成されている.

本講義では,PQC の基礎から始めて,いくつか代表的な暗号化・署名方式について,その構成法と安全性について説明していく.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
45901-149
GMA-MA6X03L1
数理科学特別講義ⅩⅨ
高島 克幸
A1 A2
木曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
数理科学研究科
授業計画
以下にしたがって対面授業を基本とした講義を行う.受講者の理解度などに応じて演習の時間を設けたり進度を遅らせたりするので,以下の計画通りに進まないことがある. 1. 量子計算と耐量子計算機暗号 2. 暗号の安全性と FO 変換 3. 格子問題(SVP・SIS・LWE 問題など) 4. 離散ガウス分布と平滑化パラメータ 5. SIS・LWE 問題の最悪時-平均時帰着 6. NIST 標準格子暗号と Regev 暗号・BG署名 7. GPV 署名と格子高機能暗号 8. 構造付き格子暗号とイデアル SVP 量子アルゴリズム 9. 楕円曲線と同種写像問題 10. 同種写像グラフと SIDH 鍵共有 11. 種数 2 同種写像計算と SIDH 鍵復元攻撃 12. M-SIDH 鍵共有と CSIDH 鍵共有 13. 耐量子署名(同種写像署名・ハッシュ関数署名・MQ 署名)
授業の方法
講義による.
成績評価方法
課題レポートによる.
教科書
C. Peikert, A Decade of Lattice Cryptography, now publishers, 2016年  (著者のサイトからダウンロード可) 國廣・安田・水木・高安・高島・米山・大原・江村「暗号の理論と技術」,講談社,2024年 相川・神戸・工藤・高島・安田「代数曲線の計算理論と暗号への応用」,日本数学会,2024年
参考書
青野・安田「格子暗号解読のための数学的基礎」,近代科学社,2019年 岡本龍明「 現代暗号の誕生と発展 」,近代科学社,2019年 縫田光司「 耐量子計算機暗号 」,森北出版,2020年 安永憲司「暗号理論入門」,森北出版,2024年 J. Katz and Y. Lindell, Introduction to Modern Cryptography, 3rd edition, CRC Press, 2020 D. Boneh and V. Shoup, A Graduate Course in Applied Cryptography, , ver0.6, Jan. 2023  (著者のサイトからダウンロード可)
履修上の注意
本講義で必要な代数や公開鍵暗号に関する基本に関しては,講義中に導入・説明する予定だが,事前にそれらに関する基本的な知識があることが望ましい, 特に,S学期に開講の「社会数理特別講義II(暗号理論入門)」を既に履修済みであることが望ましい.