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最終更新日:2025年4月21日

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外科病理学実習

 「再生医学」とは、生体が有している自己修復能を最大化あるいは最適化することにより、疾患に苦しむ患者さんを助けるための新しい科学を創出しようとする試みです。急速に進歩しつつある発生生物学(Developmental biology)や幹細胞生物学(Stem cell biology)を駆使して、臓器形成や臓器再生のメカニズムを明らかにし(臓器を知る)、炎症、癌、老化などによる疾患の機序を明らかにして予防法・治療法の開発に役立て(臓器を守る)、工学的手法との融合により人の手により臓器を創り出し(臓器を創る)、これらの研究成果を臨床医学へ還元することを目指しています。  「再生医学」研究においては、①研究課題を設定して実験をデザインし(計画:Plan)、②実験により発生・再生メカニズムを解明するとともに細胞操作技術を開発し(実行:Do)、③得られた実験結果を考察し(評価:Check)、④残された課題に対応するための実験をデザインする(改善:Action)といった、いわゆるPDCAサイクルを繰り返し行う必要があります。  本実習では、再生医学の研究開発に求められる知識や技術を、実際に実験を行いながら習得することを目的とします。
本実習では、代表的な固形臓器である肝臓を対象として、「実験による発生・再生メカニズムの検証や新規技術の構築・開発(実行:Do)」と「得られた実験結果の考察(評価:Check)」について実習を行います。
具体的には、ヒトiPS細胞を用いた肝臓細胞への分化誘導、オルガノイド培養方法を用いた組織再構築、ヒトiPS細胞由来オルガノイドの特性解析等の実験手法を学ぶととともに、実験結果を考察します。本実習の具体的目標は下記とします。
【目標】
肝臓の発生過程・再生過程を理解する。
ヒトiPS細胞から肝臓構成細胞を分化誘導し、肝臓オルガノイドを再構成できる。
人為的に創出した組織の特性を解析することができる。
実験計画の立案、実験結果の記録と解釈、実験結果に基づくプレゼンテーションスとディスカッションができる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
41533132
GME-PA7132P2
外科病理学実習
各教員
S1 S2 A1 A2
集中
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講義使用言語
日本語、英語
単位
4
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
医学系研究科
授業計画
4月~6月 ヒトiPS細胞の培養と肝臓構成細胞分化誘導 7月~9月 PCR法などを用いた分化誘導サンプルの遺伝子発現変化の解析 1月~12月 肝臓組織標本の作成と組織学的解析の実施 1月~3月 実験結果のプレゼンテーションとディスカッションのトレーニング
授業の方法
実験の実施、実験結果のとりまとめ 教員および受講者に対するプレゼンテーションとディスカッション。
成績評価方法
 実習の出席状況、実験結果のとりまとめ状況、プレゼンテーション、教員とのディスカッションにおける理解度などから総合的に評価する。
教科書
特になし
参考書
特に教科書は指定しませんが、下記書籍は本実習の理解を深める上で有用と思います。 (1) Principles of Regenerative Medicine, Second Edition (Anthony Atala, Robert Lanza, James A. Thomsonら編、Academic Press、2010年、ISBN-13: 978-0123814227) (2) Stem Cells Handbook (Stewart Sell編、Humanpress、2003年、ISBN-13: 978-1588291134)   細胞生物学研究の現状を多方面から詳細に解説してある。発生や器官形成における幹細胞の役割を明確に示しながら、幹細胞の細胞起源、機能、疾患との関連について判りやすく解説している。 (3) Molecular Biology of the Cell, 4th edition:細胞の分子生物学 (Bruce Alberts著、中村佳子・松原健一訳、ニュートンプレス、2004年、ISBN-315-51730-5)   初心者にも判り易くサイエンスの先端的知識を提供してくれる教科書で推薦できる。再生医学に関連する幹細胞生物学は第22章(組織の形成 - 組織を作る細胞の生と死)、発生生物学は第21章(多細胞生物における発生)である。教科書としては一見分厚く見えるが、関連する部分はコンパクトにまとまっており、初心者でも読みやすい。 (4) 幹細胞の謎を解く、アン・B・パーソン、渡会圭子訳、谷口英樹監修、みすず書房、ISBN4-622-07178-9)   科学者への取材と文献をもとに幹細胞研究の歴史と現状を記した好著である。幹細胞生物学や再生医学を礼賛するのではなく、微生物ヒドラやイモリなど再生能力を持つ生物が研究され始めた18世紀を起点として、幹細胞の発見から医療応用までの歴史的軌跡を中立的な立場でレビューしてある。再生医学の倫理的な問題にも言及している。初心者でもノンフィクション物語として一気に読める。 (5) 再生医療工学 (立石哲也、田中順三編著、工業調査会、2004年、ISBN-13: 978-4769371267)   再生医療工学成立の背景とそれを支える基盤技術の概念から、細胞の足場材料としてのバイオマテリアルの製造技術と特性、再生医療に関連したさまざまな要素技術、その臨床応用等を広範な分野にわたって詳述されている。
履修上の注意
 本実習では細胞培養や動物実験等を含みます。必ず、受講前に教員にコンタクトし、実習内容についての説明や実習日程について調整の上、受講して下さい。なお、本実習は「外科病理学演習」と連動しながら進めます。本実習を受講される方は、外科病理学演習についても受講されることを推奨します。
その他
特になし