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最終更新日:2026年10月16日

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社会課題の解決に向けた資産運用の新たな役割

金融・資本市場を通じて、社会課題解決の可能性と限界を考える 本講義では、金融・資本市場および資産運用が、社会課題の解決に果たし得る役割とその限界について、基礎理論、制度、実務事例の三つの観点から考察します。株式、債券、融資、為替、金利等の基本的な仕組みを学ぶとともに、ベンチャーキャピタル、生命保険会社、資産運用会社等の機関投資家が、企業やスタートアップ、地域に資金を供給する仕組みを理解します。 また、気候変動、少子化・高齢化、地方の過疎化、産業衰退等の社会課題が、企業価値、投資リスク、金融市場に及ぼす影響を分析します。ESG投資・サステナブル投資については、情報開示、法制度・規制、ガバナンス、グリーンウォッシュ等の論点を取り上げ、企業、投資家、行政、地域社会それぞれの立場から多面的に検討します。 さらに、経済的リターンに加えて、社会的・環境的インパクトの創出を意図し、その実現状況を測定しながら行うインパクト投資について、実際の投資事例やインパクトスタートアップの経営者の経験を通じて学びます。資金調達、事業成長、インパクト測定、投資家との関係構築など、実務上の可能性と課題についても考察します。
本講義の到達目標は、以下のとおりです。
1. 金融・資本市場および資産運用の基本的な仕組みを説明できる。
2. ベンチャーキャピタル、生命保険会社、資産運用会社等の役割と投資判断の特徴を比較・説明できる。
3. 社会課題が企業価値、投資リスク、金融市場に及ぼす影響を分析できる。
4. ESG投資・サステナブル投資について、情報開示、規制、ガバナンス、グリーンウォッシュ等の論点を踏まえて評価できる。
5. 機関投資家、とりわけ長期・広範な投資を行う「ユニバーサル・オーナー」の責任と可能性を考察できる。
6. インパクト投資の考え方、インパクトの測定、資金調達や事業成長との関係を理解できる。
7. 自らが関心を持つ社会課題について、金融・資本市場や資産運用を活用した解決策を構想し、自分の言葉で説明できる。

実務家の経験や意思決定の過程に触れることで、理論と現場の間にあるギャップや、投資家・企業・行政・地域社会が直面するジレンマを多面的に捉えます。最終的には、受講生自身が、対象とする社会課題、資金の流れ、事業や投資の仕組み、期待される経済的リターン、インパクトの測定方法、想定されるリスクや限界を含む提案を構想することを目指します
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
3792-180
GEN-TM6o67L3
社会課題の解決に向けた資産運用の新たな役割
野村 裕之、木見田 康治、浅谷 公威
A2
火曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
1
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
工学系研究科
授業計画
本講義「社会課題の解決に向けた資産運用の新たな役割」は全7回で構成し、ベンチャーキャピタルの現場を入口として、スタートアップに流れるリスクマネー、生命保険会社のビジネスと資産運用、サステナブル投資、日本が抱える社会課題、為替・金融市場、地方創生とインパクトファイナンス、インパクトスタートアップの実務と具体的な事例までを段階的に学びます。その過程を通じて、金融・資本市場や資産運用が、企業の成長、地域の活性化、社会課題の解決にどのように関わりうるのかを多面的に考える授業です。生命保険会社の資産運用とユニバーサルオーナーとしての役割を一つの軸としつつ、ベンチャーキャピタルのCEO、上場インパクトファンドの運用者、為替ディーラー、金融・証券に精通した弁護士、地方創生に取り組む事業者、インパクトスタートアップのCEOなど、多様な外部ゲストの視点を取り入れます。 授業を通じて受講生に身につけてもらいたいのは、単に「インパクト投資の知識」ではありません。むしろ、 ・自分なりの社会課題への問題意識を持ち?・金融・資産運用の仕組みが、その課題とどのように関わり得るかを考え?・収益性と社会的価値の両立や、理想と現実のギャップ、実務上のジレンマにも目を向けながら?・それでもなお、「こうあるべきだ」という未来像を主体的に描き、インパクト投資や社会課題解決型事業の提案として言語化するという思考のプロセスそのものです。 金融を社会課題解決の万能な手段として捉えるのではなく、金融によって何が可能になるのか、反対に何が解決できないのか、また、収益性と社会的価値をどのように両立させるのかを、実務家との対話を通じて考察します。 各回の予定 12月8日(火) ①ベンチャーキャピタルの投資実務――不確実性の高い事業の価値をどう見極めるか ゲスト予定: シリコンバレー拠点のベンチャーキャピタル 共同創業者兼CEO 12月15日(火) ②生命保険会社のビジネスと上場株式を通じたインパクト投資――保険料はどのように運用されるのか ゲスト予定: 長期投資・企業との対話を重視する投資信託会社 代表取締役社長 12月22日(火) ③サステナブル投資と日本の社会課題――ESGをめぐるルール・開示・ガバナンス ゲスト予定: 金融規制・ESG開示・ガバナンスを専門とする法律事務所 弁護士 2027年1月5日(火) ④為替・金融市場と資産運用の基礎――為替・金利の変動をどう捉えるか ゲスト予定: 外資系証券会社 外国為替部門ディレクター 1月19日(火) ⑤地方創生とインパクトファイナンス――地域課題に金融はどう向き合えるか ゲスト予定: 地域の魅力を活かした事業開発・地方創生に取り組む事業会社 代表取締役CEO 1月26日(火) ⑥インパクトスタートアップの実践Ⅰ――社会課題解決と事業経営の現実 ゲスト予定: 環境負荷に配慮した農業の普及に取り組むスタートアップ 代表取締役 2月2日(火) ⑦インパクトスタートアップの実践Ⅱ――インパクト投資・起業の構想を提案する ゲスト予定: ドローン物流で地域課題の解決に取り組むスタートアップ 代表取締役
授業の方法
本講義は日本語で実施します。講義、実務家による講演、オープンディスカッションを組み合わせ、知識を受動的に習得するだけでなく、受講生自身が問いを立て、議論を通じて考えを深め、具体的な構想として言語化する学習を重視します。 ・担当教員による基礎講義(インプット): 各回の前半で担当教員が、為替・金融市場や資産運用の基礎、サステナブル投資・インパクト投資の理論、日本の社会課題の構造などを解説し、ゲスト講演やディスカッションの前提となる枠組みを提供します。 ・実務家ゲストによる講演: 各回、金融、投資、法律、地域事業、スタートアップ経営等の分野で活動する実務家を招き、具体的な事例、意思決定の過程、現場で直面する課題やジレンマについて講演していただきます。 理論的な枠組みと実務上の経験を関連付けることで、金融・資本市場や資産運用が、企業、地域、社会課題とどのように接続しているのかを具体的に理解します。 ・オープンディスカッション: 講演後には、担当教員とゲスト講師の対話を軸としたオープンディスカッションを行います。受講生は、講義内容やゲスト講演に対する質問・意見を提示し、自らの研究関心や問題意識と関連付けながら議論に参加します。Q&Aの時間も設けます。 このような方法を通じて、受講生が「為替・金融市場」「資産運用の役割」「サステナブル投資」「社会課題」「インパクト投資」といった要素のつながりを理解し、金融・資産運用を通じて自分は社会にどう関わりたいのかを主体的に考え、その構想を、自らの研究やキャリア選択と結びつけていく視点を獲得することを目指します。
成績評価方法
評価全体の構成 ・本講義の成績評価は、出席および小レポートを基本として行います。 出席状況は、成績評価および単位認定の前提条件として扱います。大学の規定に従いつつ、例えば「全回数の3分の2以上の出席」を単位認定の最低条件とし、それを下回る場合は評価の対象外とすることがあります。ただし、実験などでやむを得ない欠席については、事前・事後の連絡等でフォローできるよう配慮します。 本講義の評価方法は、授業の目標と直結しています。すなわち、 ・為替・金融市場と資産運用の基本的な仕組みを理解し、 ・生命保険会社を含む機関投資家の役割を押さえたうえで、 ・サステナブル投資や日本が直面する社会課題を多面的に捉え、 ・ユニバーサルオーナーとしての資産運用の責任と可能性を考え、 ・「インパクト投資」という実践的な枠組みを、自分が選んだ社会課題や関心領域に引き寄せて構想する という一連のプロセスを、授業への出席と小レポートの内容を通じて評価します。 小レポートでは、各回または数回分をまとめて ・講義やゲスト講演から得た気づきや疑問を、自分の言葉で整理できているか ・為替・金融市場、資産運用、サステナブル投資、インパクト投資といった概念を、自身の関心のある社会課題と結びつけて  考えているか ・講義を通じて「金融・資本市場を通じて社会課題にどう向き合うか」という視点に、自分なりの問いや仮説を持てているか といった点を重視します。小レポートは、所定の形式で500~800字程度とします。短い分量の中で、講義内容やゲスト講演の単なる要約にとどまらず、「自分は何をどう考えているか」「どの点が印象に残り、なぜそう感じたのか」「どのような問が生じたのか」が伝わる記述になっているかを重視します。 このように、出席と小レポートを組み合わせて評価することで、金融・資本市場や資産運用に関する知識のインプットだけでなく、講義内容や実務家(ゲスト講師)経験や示唆を自らの問題意識と結びつけて咀嚼し直すプロセスを重視します。それによって、受講生が将来どのような組織や分野で活躍することになっても、「金融・証券や資産運用を通じて社会にどのような価値を生み出せるか」を自ら問い続け、その問いを具体的な行動やキャリア選択につなげていく力を養うことを目指します。
履修上の注意
特になし。本科目は日本語講義であるが、同時通訳で英語のキャプションを画面に投影する。