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最終更新日:2025年4月21日

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科学技術社会特論2

科学技術の急速な進展は現代社会の抱える様々な問題解決に寄与しうる。一方で想定しないリスクや社会構造の変革にも大きな影響を持つ。科学技術は科学的知識に関する不確実性と技術の利用形態に関する不確実性という二重の不確実性をもつ。そして、科学技術の研究開発や利用には多様なアクターが関わり、そこには様々な利害が生じ、複雑なリスクトレードオフ構造が形成される。こうしたことから科学技術の社会導入は多様な社会的含意をもつ。社会経済活動がより重層的に繋がり相互依存性を高めている社会にあって、科学技術の研究開発・利用を巡る公共政策は極めて重要である。研究開発する研究者コミュニティ、そうした研究を社会導入する産業、利用を推し進める政策立案者や意思決定者は、上述した科学技術の本質を踏まえ、技術がもたらす安全性への影響のほか、倫理的・法的・社会的含意・課題(ELSI:Ethical, Legal, Social Implications/Issues)を事前に検討し、適切なガバナンスに向けて責任ある研究イノベーション(RRI:Responsible, Research Innovation)を展開することが求められる。
本講義では、科学と技術の関係の分析や先端科学技術の社会導入に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)」(技術の社会影響評価)、フォーサイト、ホライゾンスキャニング等のいわゆる戦略的知性(Strategic Intelligence)や社会構造転換のマネジメント手法であるトランジションマネジメント等の基本的考え方・手法・制度を学習し、また、複数のグループワークを通じて分野の異なる学生間の議論の機会を設け、さらに具体的技術や科学と社会に関連するテーマにかかわるゲスト講師からの講義などを通じて、受講者自ら特定の技術を選定してTAレポートを作成することで、上述のような問いを自ら深めることを目的とする。
科学技術にかかわる研究開発に従事するもの、科学技術が関連する政策に携わることを目指すもの、そして身の回りの科学技術の影響について検討したいものに受講してもらいたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
3789-124
GEN-NM6402L1
科学技術社会特論2
松尾 真紀子
S1 S2
金曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学系研究科
授業計画
講義では、まず、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)*」をはじめ、技術の社会導入における検討において有用なアプローチ、考え方・手法・制度について学ぶ。次に、ミニフォーサイト・シナリオ演習や欧米の政府機関の事例や国内におけるTA機関の調査などのグループワークを行う。その後、個別技術の専門家からTAの検討の参考となる事例についての話題提供を複数の分野について講義していただき、受講者は講義で学んだTA等のアプローチを活用して自らが選定した技術の社会影響について分析しレポートにまとめる。 *) TAとは、従来の研究開発・イノベーションシステムや法制度に準拠することが困難な先進技術に対し、その技術発展の早い段階で将来の様々な社会的影響を予期し、社会的対応案を提示することで、技術や社会の在り方についての問題提起や意思決定を支援する制度や活動を指す。 具体的な内容とスケジュールは以下を予定している(変更の可能性あり)。 1.イントロダクション―TAとは・講義の狙い 2.技術の社会導入におけるアプローチ①:TAとELSI・RRI 3.技術の社会導入におけるアプローチ②:先見的ガバナンス・戦略的知性の様々なツール:フォーサイト、ホライゾンスキャニング、TA 4.技術の社会導入におけるアプローチ③:リスクガバナンスとTA機関の調査グループ分け 5.技術の社会導入におけるアプローチ④:トランジションマネジメント・ミッション志向型の科学技術イノベーション政策(城山) 6.技術の社会導入におけるアプローチ⑤:熟議・市民参加 7.具体的実践事例①:ミニフォーサイト・シナリオ演習 8.具体的実践事例②:TAの具体的展開と多様性-TA機関とTAレポートのグループワーク 9.具体的実践事例③:TAの具体的展開と多様性-TA機関とTAレポートの報告 10.個別事例分野におけるTAの検討に向けて①エネルギー分野 11.個別事例分野におけるTAの検討に向けて② 医療ロボット分野 12.個別事例分野におけるTAの検討に向けて③ 医療分野 13.最終発表
授業の方法
※本講義の受講を検討している場合は必ず初回講義を受けること。 本講義は、公共政策大学院との合併授業である。 初回は、公共政策大学院と工学系研究科でスケジュールが異なることから、初回4/4(金)公共政策大学院(対面)、4/14(月)は工学系が金曜授業のため、4/4と同様の内容をオンライン開催で実施予定。UTOLで当日までにzoomリンクを告知するので必ず確認のこと(公共政策大学院の講義の4/4に参加することも可能・対面で実施)。 STIG(科学技術イノベーション政策の科学教育プログラム)の基礎科目(b):エビデンス構築手法論の対象科目である。https://stig.pp.u-tokyo.ac.jp/***** ※授業の伝達はUTOLを通じて実施するので教員への連絡含めてUTOLを活用してください。 基本的に対面で実施するが、ゲスト講師の都合等により一部オンラインになる回もある。
成績評価方法
授業参加状況、グループワーク、TAレポート(最も重視する)による。
教科書
Grunwald, A. (2018). Technology Assessment in Practice and Theory. Routledge. Shiroyama, H., & Matsuo, M. (2024). Technology assessment and TA-like activities in Japan. In Handbook of Technology Assessment (pp. 201-209). Edward Elgar Publishing. 城山英明編『科学技術ガバナンス』東信堂、2007年 谷口武俊『リスク意思決定論』大阪大学出版会、2008年 小林傳司『誰が科学技術について考えるのか-コンセンサス会議という実験』名古屋大学出版会、2004年。
履修上の注意
指示しない
その他
前提となる知識と項目:特に無し