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最終更新日:2024年10月18日

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科学技術社会特論2

科学技術は科学的知識に関する不確実性と技術の利用形態に関する不確実性という二重の不確実性をもつ。そして、科学技術の研究開発や利用活動には多様なアクターが関わり、そこには様々な利害が生じ、複雑なリスクトレードオフ構造が形成される。科学技術の社会導入は多様な社会的含意をもつ。社会経済活動がより重層的に繋がり相互依存性を高めている社会にあって、科学技術の研究開発・利用を巡る公共政策は極めて重要である。研究開発・利用を推し進める政策立案者や意思決定者は上述した科学技術の本質を踏まえ、技術がもたらす安全性への影響のほか、倫理的・法的・社会的含意・課題(ELSI:Ethical, Legal, Social Implications/Issues)を事前に検討し、責任ある研究イノベーション(RRI:Responsible, Research Innovation)を展開することが求められる。

本講義では、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)」(技術の社会影響評価)の考え方・手法・制度を学習し、具体的な科学技術を取り上げ実践的にTA試みることを通して、上述のような問いについて考えていく。これまで受講生が取り上げてきた技術は、ジオエンジニアリング、人工光合成などの環境・エネルギー分野、M2Mや仮想現実・拡張現実、メタバース、ウェアラブルIoTなどの情報通信技術分野、角膜再生やBMIなどの健康・医療技術分野、宇宙デブリ除去技術、宇宙新輸送システムなどの宇宙分野、自動運転技術、自動翻訳などの人工知能分野、ゲノム編集技術、培養肉、合成生物学のバイオテクノロジー分野等がある。本年度は、脳情報科学分野、グリーンイノベーションにかかわる環境分野、情報分野等の具体的な技術を取り上げることを想定している。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
3789-029
GEN-NM6402L1
科学技術社会特論2
松尾 真紀子
S1 S2
月曜3限、月曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
4
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
工学系研究科
授業計画
講義では、まず、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)*」の考え方・手法・制度について、欧米の政府機関の事例や国内におけるプロジェクトの事例を通して学習する。その後、今年度のTAの事例研究について、対象とする先端科学技術の利用目的や研究開発の現状・見通し等について、専門家から講義を頂く予定である。なお、履修生はTAグループワークに先立ち、全員により先端科学技術が導入されることが予想される将来の社会像についてミニ・シナリオプラニングにより複数描く演習も行う。そのうえで、履修生はグループに分かれ、将来の社会に対象とした科学技術が導入された場合の社会的影響や社会的含意を多面的に考察し、TAを試行的に実践する。TAの結果は特定の意思決定者(クライアント)を想定し、報告書として取りまとめるとともに発表を行う。なお、優れたTA報告書は、ポリシーリサーチペーパーとして公共政策大学院のホームページに掲載し社会に発信する。 *) TAとは、従来の研究開発・イノベーションシステムや法制度に準拠することが困難な先進技術に対し、その技術発展の早い段階で将来の様々な社会的影響を予期し、社会的対応案を提示することで、技術や社会の在り方についての問題提起や意思決定を支援する制度や活動を指す。 具体的な内容とスケジュールは以下を予定している(変更の可能性あり)。 #1:講義の狙いと背景、TAの概念と歴史、欧米のTA事例、事例研究の進め方 #2:将来の社会像を描く(グループワーク、シナリオ発表のミニ演習) #3:TAの対象となる技術についての専門家による話題提供・講演 #4:国内外のTA報告書事例に関するグループワークの発表 #5:TAの対象技術の決定、グループ編成、グループワーク(アジェンダ設定等) #6-7:グループワーク(技術レビュー、ヒアリング等) #8:進捗報告と質疑・意見交換 #10-12:グループワーク(TA報告書のストーリーライン、最終報告の準備等)、場合によって#11に進捗報告と質疑・意見交換を行う可能性あり #13:各グループからTA最終報告と総評 TA報告書提出期限は8月上旬を予定(変更の可能性あり)。
授業の方法
過去に事例研究(テクノロジーアセスメント)を履修した学生は、この科目の履修はできない。 STIG(科学技術イノベーション政策の科学教育プログラム)の基礎科目(b):エビデンス構築手法論の対象科目である。https://stig.pp.u-tokyo.ac.jp/*****
成績評価方法
授業参加状況および中間報告、成果発表、TA報告書(最も重視する)による。
教科書
城山英明編『科学技術ガバナンス』東信堂、2007年 谷口武俊『リスク意思決定論』大阪大学出版会、2008年 小林傳司『誰が科学技術について考えるのか-コンセンサス会議という実験』名古屋大学出版会、2004年。 Grunwald, A. (2018). Technology Assessment in Practice and Theory. Routledge.
履修上の注意
指示しない
その他
前提となる知識と項目:特に無し