授業日程は,第1回:4月7日のガイダンス時(酒井康行担当)に告知する。講師は以下の方々の予定。
●4/14, 4/21:佐藤 知一(日揮株式会社・データインテリジェンス本部DIプランニング・部長)
「エンジニアリングとプロジェクトマネジメント」: 『エンジニアリング』とは、化学の研究成果を、化学プラントという姿に実現化する仕事である。それはプロセスシステムの設計から始まって、機械・装置の選定と調達、建設工事の管理、そして試運転・量産開始までを統括する大きなプロジェクトである。本講義では、化学技術者の活躍の場であるエンジニアリングという仕事の特徴と、ビッグ・プロジェクトをマネジメントするための手法論について実例を通じて学ぶ。
●4/28, 5/12:岡田 佳巳(千代田化工建設株式会社・技術開発部・上席技師長)
「水素の大規模貯蔵輸送技術の開発」: 本講義では、国策として実用化/普及が目指されている水素エネルギーの我が国における意義と政策動向、エネルギーキャリアとして注目されている水素の大規模貯蔵輸送技術の開発動向、および世界的な脱炭素の潮流として注目されているCCUS技術の動向を解説するとともに、気候変動/地球温暖化防止に向けた将来の展望を考察する。
●5/19, 5/26:古関 恵一(JXTGエネルギー株式会社・中央技術研究所・フェロー)
「エネルギー動向最前線」: エネルギーは環境対応・資源の枯渇、安心安全のみではなく、それらを含む利用に際しての全体的な経済性とその背景にある需給の存在など見えにくいが重要なポイントが存在する。昨今、この見えない点が再生可能エネルギーの普及・社会実装のネックになっている事例が多い。グループ議論と講義を通じ、「エネルギー動向」の最前線の議論を掘下げたり、イシューからソリューションを導く考えに親しんだりする機会となることを目指す。
●6/9, 6/16:鈴木 康弘(第一三共株式会社・信頼性保証本部 薬制部 グローバルPMRAグループ・主任研究員)
「医薬品生産技術における化学工学の役割」: 医薬品開発の流れについて理解した上で、医薬品を製造する技術開発がどのように行われているか、その中で化学工学の知識・技術がどのような場面で活用できるかについて、講義の中で紹介する事例を通して学ぶことを目的とする。また、現在製薬業界で起こっている製造技術転換の流れを踏まえ、自身の専門知識や技術が医薬品産業でどのように応用できるか考える機会とする。
●6/23, 6/30:山崎 英数(富士フイルム株式会社・R&D統括本部 バイオサイエンス&エンジニアリング研究所 ・研究主幹 )
「エンジニアが世の中の変化に対応していくためには」: 写真フィルムを主力製品とする化学メーカーであった富士フイルムは、約20年前に主力製品喪失の危機に直面しながら、ヘルスケアやバイオ等の異業種への参入に挑戦し、主力事業を大転換させることができた。本講義では、いくつかの事例を教材にして、「この変革を可能とした要因」について考察する。さらに、世の中の変化速度が増す中で、今後、研究者やエンジニアは、何をすべきかについて議論し、将来への気づきの場とする。
●7/7, 7/14:高宮 寿美(コンジャンクト合同会社・シニアコンサルタント)
「我が国の化学産業における研究開発:強み弱みと期待」: 「イノベーション」が注目されて久しいが、化学産業は多大な投資を必要とするためITやサービス業の方法論の踏襲が難しい。基本的にイノベーター志望の企業は、自らの技術を核に異業種への参入を志し、技術や商流の補完のためM&A、企業間連携を実行する。これらのステージで遭遇する研究開発上の壁を紹介するとともに、成功に向けて技術者に求められるであろう役割を考察する。