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最終更新日:2026年10月16日
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大気海洋科学特論IV
台風の物理学:熱帯低気圧の力学と熱力学
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Physics of Tropical Cyclones: Dynamics and Thermodynamics
本講義では、北西太平洋にて発達した熱帯低気圧「台風」を、地球流体力学および熱力学の観点から、基本的な駆動メカニズムと近年の研究内容などに着目して紹介する。台風は海洋から供給される水蒸気(潜熱)が、中心付近で凝結し、流れ場を変えることで駆動する。台風は半径数百 kmに及ぶ組織化された巨大な渦系であり、その中には、アイウォールやレインバンドなど特徴的な雲が存在する。中心付近で観測される毎時100 mmの降水や秒速100 mの最大風速は、一般的な都市排水能力を圧倒し、甚大な被害を引き起こす。本講義では、海洋から供給される潜熱がいかにして運動エネルギーへと変換され、アイウォールやレインバンドといった特異な構造を維持し続けるのか、その物理的背景について現在の理解を紹介する。また、周囲の一般流との相互作用に基づく移動のメカニズムに加え、熱帯低気圧の発生、急速な発達を経て成熟し、やがて温帯低気圧化や消滅に至る一連のライフサイクルを詳述する。受講者は現象を記述する諸法則の理解を通じ、台風という熱機関が示す複雑なダイナミクスを、基礎から応用まで理解することを目指す。
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