ソフトマターとは、力学的にやわらかい性質を示す物質の総称です。高分子・液晶・コロイド溶液のような、複雑な内部構造をもつ液体を意味することが多いですが、「やわらかい」には厳密な定義はなく、形状記憶合金やソフトポーラスクリスタルなどの結晶も、内部自由度の応答とマクロな力学応答が絡み合う「やわらかい」結晶つまりソフトマターと見なすことができます(液体と区別するためソフトクリスタルと呼ぶこともあります)。そこでは粘弾性やメソスケール不均一性が力学応答を理解する上での重要概念となります。そのようなメソスケールの有効理論であるGinzburg-Landau理論をベースに、数々のソフトマターをどのように調理していくのか、議論していきたいと思います。もちろん題材に応じてレシピは少しずつ異なりますが、普遍的な概念があることを、具体例を通じて学んでいただけますと幸いです。具体的には以下の内容を予定していますが、多少の変更はあり得ます:
1.Ginzburg-Landau (GL) 理論
2.時間依存Ginzburg-Landau (TDGL) 理論
3.非保存系と保存系の相秩序化
4.スピノダル分解と核生成
5.流体力学的相互作用の働く相転移ダイナミクス
6.液液相分離、液晶相転移、高分子溶液の相分離
7.固体の相転移ダイナミクスにおける弾性論の役割
8.ソフトクリスタルにおける相転移ダイナミクス(非保存系):反強誘電相転移とその力学制御
9.ソフトクリスタルにおける相転移ダイナミクス(保存系):ソフトポーラスクリスタルの分子吸脱着転移
10.数値シミュレーション技法について補習