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最終更新日:2025年4月1日

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欧州政治論

ドイツにおけるデジタル化の史的考察
1980年代以降にパーソナル・コンピュータ、1990年代以降にインターネットが一般に普及し、デジタル技術が現代ドイツの政治、経済、社会、文化のほぼ全ての領域と関わりを持つようになった。このことを受けて、近年のドイツ史研究において、デジタル技術の歴史的意義を本格的に考察しようという意識が高まっている。デジタル技術の歴史は、デジタル史(ドイツ語:Digitalgeschichte, 英語:History of Computing)と呼ばれ、米英においては第二次世界大戦中に、そのほかの西欧諸国においては第二次世界大戦後にその起点があるとされている。デジタル史はこれまでも分析の対象となってきたが、古典的な歴史記述の中心は、最先端技術の発展や、イノヴェーションを生み出した少数の技術者や企業の動向にあった。しかし、とりわけ2010年代以降は、そうした少数の対象に注目するのではなく、政治史・社会史的視点を取り入れることで、デジタル化の歴史的意義を包括的に明らかにしようという研究が登場している。つまり、新技術を生み出した主体だけでなく、それを(進んで、あるいはしぶしぶ)受け入れた主体(政府機関、教育機関、企業など)、積極的に抵抗した主体(一部の市民運動など)、開発者の意図しない形で新技術を利用した主体(左翼オルタナティヴ運動、ハッカーなど)なども研究対象に含まれるようになった。本授業は、こうしたドイツ現代史研究の最新の動向を主に扱うものである。

本授業は、次の2点を目的とする。
1) デジタル化が幅広い社会の領域で急速に進展した1970年代以降の現代ドイツ政治史の基本的知識をおさえる。
2) デジタル史を政治史・社会史的側面から捉える。

本授業では、主に日本語とドイツ語で書かれた研究文献を講読する。
また、ハンブルクを中心に活動したハッカー集団、カオス・コンピュータ・クラブ(CCC)の機関誌"Datenschleuder"などの史料も適宜扱う予定である。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31M310-5037S
欧州政治論
川﨑 聡史
S1 S2
木曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
第1回:授業ガイダンス 近年のデジタル史の研究動向について 第2回:板橋/妹尾(編)『現代ドイツ政治外交史』第5・7章 第3回:板橋/妹尾(編)『現代ドイツ政治外交史』第8・9章 第4回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Wege in die digitale Gesellschaft" 第5回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Der politische Zugriff auf nicht-polizeiliche Datenspeicher in der Bundesrepublik" 第6回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Sicherheit, Demokratie und Transparenz" 第7回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Zwischen Reform, Rationalisierung und Transparenz. Die Digitalisierung der bundesdeutschen Rentenversicherung 1957-1972" 第8回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Digitalisierung in der kommunalen Versorgung" 第9回:Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft, "Technologie, die verbindet Die Entstehung und Vereinigung von Hackerkulturen in Deutschland" 第10回:史料読解 “Datenschleuder”を読む 第11回:史料読解 “Datenschleuder”を読む 第12回:Weinhauer/Requate/Haupt (Hrsg.), Terrorismus in der Bundesrepublik, "Zwischen »Partisanenkampf« und »Kommissar Computer«" 第13回:Wichum/Zetti (Hrsg.), Zur Geschichte des digitalen Zeitalters, ”Digitalgeschichte als Gesellschaftsgeschichte"
授業の方法
毎回の授業において、指定された履修者が課題テクストの報告を行う。そのほかの履修者はその報告をもとに議論を行う。 報告者:文献の内容をまとめ、疑問点・論点(文献で扱われた事象の背景・経緯に関わるもの)と参考文献表を載せた発表資料を用意すること。 そのほかの履修者:報告を聞いて積極的に議論に参加し、質問する。文献は報告者でなくてもきちんと予習し、疑問点・論点を用意する。質問が出ない場合、教員が指名して論点を提示してもらうこともあるので全員が疑問点・論点を用意すること。疑問点や論点は事前に提出してもらう予定である。 欠席や遅刻など、発表する人に対して失礼になるようなことは極力しないこと。 やむを得ない理由で自分の報告を欠席する場合は、代理の報告者を立てること。
成績評価方法
課題テクストの予習、報告の内容、授業中の議論への参加、提出物をもとに成績評価を行う。
教科書
板橋拓己/妹尾哲志(編)『現代ドイツ政治外交史:占領期からメルケル政権まで』ミネルヴァ書房 2023 Frank Bösch (Hrsg.), Wege in die digitale Gesellschaft. Computernutzung in der Bundesrepublik 1955-1990, Göttingen: Wallstein 2018. Klaus Weinhauer/Jörg Requate/Heinz-Gerhard Haupt (Hrsg.).Terrorismus in der Bundesrepublik. Medien, Staat und Subkulturen in den 1970er Jahren, Frankfurt a.M./New York: Campus 2006. Ricky Wichum/Daniela Zetti (Hrsg.), Zur Geschichte des digitalen Zeitalters, Wiesbaden: Springer 2022 (ドイツ語文献については、あらかじめ用意する必要はない)
参考書
ドミニク・ゲッパート『ドイツ人が語るドイツ現代史:アデナウアーからメルケル、ショルツまで』(ミネルヴァ書房 2023)など授業中に適宜指示する。
履修上の注意
ドイツ語文献を講読するため、履修にはドイツ語文法に関する知識が必要となる。 履修者全員が、授業で使用する課題テクストを必ず予習してくることが前提である。 報告者は、資料を発表日の正午までに教員にメール等で提出するとともに、自分で印刷等で配布準備をすること。 授業後は、授業で扱った内容に関係する課題の提出を求める予定である。
その他
第1回授業で授業の進め方を詳しく説明するので、履修者は参加すること。 履修者の人数や状況に応じて授業計画は変更になる可能性がある。 1回の授業時間は90分である(15時10分~16時40分)。