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最終更新日:2023年10月20日
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生命環境科学特別講義II
「モデル生物」を再定義する
〜線虫C. エレガンスを用いた「small RNA worldの発見」、「老化遺伝子の解明」、「全脳活動の計測・数理モデル化・コネクトームとの対応」を参考として〜
これまでの生物学・基礎生命科学研究の発展には、「モデル生物」が非常に重要な役割を果たしてきた。モデル生物とは、「大腸菌で正しいことは象でも正しい」という言葉に代表される生命現象制御メカニズムの普遍性を前提として、多くの研究者がさまざまな角度から集中的(および協力的または競争的)に研究するために選ばれた生物種である。これまでに、ファージ・大腸菌・ウニ・カエル・出芽酵母・線虫C. エレガンス・ショウジョウバエ・ゼブラフィッシュ・マウス・ラット・アカゲザル・シロイヌナズナ等が選ばれてきた。
しかし、これらの中には現在はほとんど研究対象として用いられていない生物種も存在する。また、過度に「モデル生物」に集中した研究の弊害も明らかになりつつある。(例えば、実験用ハツカネズミは野生のハツカネズミよりも遥かに飼育しやすいが、これは室内で「貴族的」に振る舞うように選択圧が掛けられた結果である可能性が高い。)
全ゲノム解析やゲノム編集、さらには細胞単位でのRNA発現解析が容易に行われるようになった現在において、何十年も前に選ばれた「モデル生物」を研究し続ける意味は存在するのであろうか?
本講義では、モデル動物の"Big Four"の1つとして知られる線虫C. エレガンスを主な題材として、「なぜモデル生物として選ばれたか?」「その結果として何がなされたか?」「最先端の現場では何が行われているか?」「未来の研究のためには何が必要か?」について、講師・木村が関与した「老化」や「microRNA」に関わる遺伝学的解析および「刺激〜神経活動〜行動」の多次元計測とその解析を中心として整理する(詳細は、下記「その他」参照)。
その上で、上記の知見および受講者からの研究提案とそれに対する議論などを介して、「モデル生物」の意義や可能性を現在の生命科学研究の視点から問い直す。これらの活動の結果として、将来において受講者自身が独創的かつ本質的な生命科学の研究対象や研究手法を選択するための手掛かりを獲得することを、本授業の目標とする。
本授業は集中講義であり、開講時期は8/7(月)〜9(水)の3日間(2限〜5限)とする。
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