学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
比較形象論II
印象派の芸術家像
現在、世界的な名声を確立している印象派はあまりに美化され、英雄視されてはいないだろうか。印象派とその絵画を、苦闘する前衛芸術家のイメージや美的、造形的な革新性という側面ばかりから捉えるのではなく、実態に即したその人間像、財政的な問題、彼らを取り巻く社会や制度などの視点から再検討してみたい。具体的には、画家たちの出身階層や家柄、絵を売る必要性や価格、男女関係(モデルや娼婦)、評価や名誉をめぐる闘争等々を調査、考察することによって、印象派の生きた姿を丸ごと捉え、冷静かつ的確な理解につなげていく。ただし、人間的、現実的な側面を浮き彫りにするとしても、露悪的なゴシップ趣味は避けたいし、「人間」で「作品」を説明するような還元主義にも陥りたくない。印象派の生き様を解明し、自ずから芸術家と作品の理解に深みや奥行きを与えるものになればと思う。
授業に参加するに当たっては、印象派に関する一次情報を満載した基本文献John Rewald, The History of Impressionism (1946)を、少なくとも日本語訳(ジョン・リウォルド『印象派の歴史』(2004年)で目を通しておくことが望まれる。ゼミではまず、Anne Martin-Fugier, La Vie d’artiste au XIXe siècle (2007) を輪読し、19世紀フランスの芸術家生活の基礎知識を得てから、各自が担当する印象派画家を決めて発表するので、フランス語の読解能力も必要となる。
MIMA Search