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最終更新日:2024年4月22日

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多元文化協力論II

『詩経』国風:中国古代歌謡を日本の先人のように読む
 中国最古の詩歌集である『詩経』から、諸国の民謡を集めた「国風」の部分を読む。
 この授業の目標は二つある。一つは、中国の古典にじかにふれてみることである。古代人の素朴でみずみずしい感性にふれながら、中国の古典と独力で取り組む力を身につける。
 一方で、中国の古典は、そのまま日本の古典でもあった。中国の古典を、かつて日本の先人がしたように読んでみることが、この授業のもう一つの目標である。古い訓読や日本人による注釈をも参照し、先人の思考の跡をたどってみたい。
 【注意】今年度Sセメスターは、学部後期課程と共通で行う。前年度の内容と全く異なるので注意すること。なおAセメスターは前年度の内容を踏襲する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
31M210-0740S
GAS-IC6C04L1
多元文化協力論II
谷口 洋
S1 S2
月曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
総合文化研究科
授業計画
 第1回はオンラインによるガイダンスを行う。授業の目的・概要・進め方について説明し、履修に関する質問を受ける。  第2回は、『詩経』の内容と注釈史について講義する。『詩経』は、古代歌謡集である以前に、儒教の経典の一つであり、政治・道徳を語る道具として伝えられてきた。われわれが『詩経』を読むには、古い注釈の助けを必要とするが、それらが儒教的視点から書かれていることは、十分理解しておかねばならない。  その後は、各自が分担して、国風の詩を読み進める。古注とよばれる早期の注釈のほか、朱熹の『詩集伝』が必見である。朱熹は、朱子学の創始者として、封建道徳の主唱者のように見られがちだが、『詩経』の詩を、政治的解釈にとらわれずにうけとめた人でもあった。日本人による注釈にも、漢文によるもの、抄物といわれる和文の講義調のものなど多数ある。今回は、中村惕斎が『詩集伝』に基づいて著した『詩経示蒙句解』という和文の注釈を使用する。  担当者は、ただ訳すだけでなく、言葉や類似表現の用例、注釈による解釈の違いなどについて、原典にあたって調査・発表することが求められる。それをふまえて、全員で詩の解釈や注釈者の見方について討議し、そこにみられる古代人の感性や先人の思考について考えたい。
授業の方法
はじめの数回を除き、学生の調査・発表と討論を中心とする。
成績評価方法
平常の状況による。自分の担当箇所以外も十分予習し、よりよい解釈を追求する作業に参加してほしい。
教科書
 『詩集伝』『詩経示蒙句解』をはじめ、テキストはプリントして配布する。中国はもちろん、江戸期の日本で出版された版本のコピーを積極的に用い、そうした古い本に慣れてもらう。版本を直接手に取る機会も設けたい。  今後とも引き続き漢籍にふれる人は、この際『詩集伝』を購入してほしい。
参考書
一般的なものは、授業の初めに紹介するが、受講生の関心によっても多少変わってくるので、積極的に相談してほしい。
履修上の注意
日本の先人の読みを追体験するのが趣旨であるから、読解については漢文訓読で行い、中国語の履修は前提としない。ただ、中国語の基礎知識(特に発音)は、あるに越したことはないので、可能であれば学ぶとよいだろう。